遠野放浪記 2015.08.16.-11 秋を呼ぶ雨 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

厚樫山上空には厚く暗い雲が掛かり、福島県北の大地に雨を運んで来る。遠くの山々は霧に隠れ、ずっと先まで何もない空間が続いているかのようだ。

 

 

汽車は次第に高度を下げ、雨に煙りながらも鮮やかな色をした水田、森、小さな丘が目の前に現れた。

 

 

 

雨は強くなる一方だ。福島駅はもう目の前だというのに。

雨から逃れるように急ぐ車が一台、緑の中の道を走っている。

 

 

 

汽車は何とか定刻どおりに福島駅に到着した。雨は既に写真に撮っても明らかにわかるくらいに強くなり、どうどうと音を立てて駅や汽車の屋根に降り注いでいる。

 

 

出発を見合わせる汽車はいないようだが、そもそも今の時間帯に福島駅を出る汽車がないようだ。我々が乗って来た汽車も、小一時間の休憩を挟んでそのまま黒磯行きの汽車になる。

地元の人は慣れているのか、この雨に慌てる様子もなく汽車の出発を待っている。

 

 

出発を待つ間に、車内で遅めの昼ごはんを食べておく。

今日はパンに、中々珍しいターキーランチョンミートの缶詰を挟んでいただく。クリスマスに七面鳥の丸焼きを食べたことなどはあるが、七面鳥のランチョンミートとは初めて見る。味は少し塩気が強かったが、パンに合い中々美味かった。

デザートに、いなばの缶詰シリーズから本場タイで製造したココナッツミルク類の缶詰もいただいた。

 

 

 

太陽は雲に隠れて見えないが、既に空の頂点は通り過ぎ、西の空へ向かい始めている。汽車は雨が弱まるのを見計らい、次の目的地へ向けて出発した。