遠野放浪記 2015.08.16.-03 葉月の弐 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

暑い夏の光が山に囲まれた綾織の街に溜まり、我々は広い道をぽてぽてと歩いている。

 

 

 

長松寺の枝垂れ栗も、夏の盛りに枝葉を伸ばし、元気に育っている。

 

 

砂子沢から鵢崎(みさざき)へ下り、道は古い遠野街道に合流する。

 

 

 

 

初めて遠野に来たときに、この綾織あたりを歩いたが、広い田園の中にぽつんと立つ郵便局の白い建物がやけに印象に残ったものだ。

 

 

山も空も遥か遠くに見え、ただ眩しい光を浴びて青い稲穂だけが輝いている。

 

 

 

石上神社の一の鳥居を過ぎ、綾織の跨線橋を渡る。一本だけ立つあの木も、青々とした葉を茂らせて元気いっぱいだ。

 

 

反対側には綾織駅が見える。

 

 

バイパスと釜石街道の交差点に差し掛かり、漸く少し賑やかな雰囲気が出て来る。

今の時刻は午前9時過ぎ。帰りの汽車まで小一時間あるので、交差点のコンビニでトイレを借りたり、飲みものを買ったりする。

 

 

コンビニの裏道を下ると、遮断機も何もない小さな踏切がある。これを渡り、綾織駅へ向かう。

 

 

此処から綾織駅まで歩いて10分くらい。丁度帰りの汽車に間に合うだろう。