遠野放浪記 2015.08.15.-05 緑と青の迷宮 | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

綾織から山頂への道は、牧場地帯に差し掛かるとほぼ全面的に視界が開け、下界の景色を含め実に広大な空間に放り出されたかのような感覚を味わうことが出来る。

 

 

 

 

 

高清水が好きだという人も、大半は特にこの綾織側の景色が気に入っており、アプローチするルートもこちらであることが殆どではないだろうか。

 

 

 

 

 

それでは松崎側の道はというと、綾織側と打って変わって森が深く、路面があまり良くないうえに距離も長いので、通る人は殆どいない。そのぶん、山頂に到達して一気に視界が開けた瞬間の喜びは大きいのだが。

 

 

牧場地帯に入れば確かに視界は開けるのだが、山の斜面からは離れた位置に道が敷かれているため、道すがら下界の景色を眺めるということは出来ないのだ。天気が崩れると霧が掛かり易く、道中心許無いというのも敬遠されがちな理由だろうか。尤も、そのような天候で鬱蒼とした森を歩くのも俺は好きなのだが。

 

 

もう山頂付近で歩ける場所は歩いてしまったので、小屋に戻ってゆっくり過ごすことにする。

 

 

 

雲は相変わらず多いものの、天気が大きく崩れる心配はなさそうだ。

俺は基本的に長い間同じ場所でじっとしていることが出来ない人間なのだが、遠野の景色はどれだけ長い間でも見ていられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

小一時間程ぼーっと過ごしていたら、お腹が減って来たので、そろそろ昼ごはんにする。