日が高いうちに小屋を出て、少し歩いて見ることにした。
綾織から約6.5km、以前はパティと一緒に登ったりしていた。当時から何かが変わっただろうか。
小屋からはバイパスから北側しか見えないが、少し歩くと山陰に隠れた綾織方面の景色も見ることが出来る。
途中で下りの斜面に入れる道がある。と言ってもすぐに道は終わってしまい、斜面はそのまま牧草地に続いているため先に進むことも出来ないが、綾織の街を見下ろすならこの場所が良い。
土淵方面と同様に、道沿いに家々が寄り集まっているのみで他は田圃と山ばかり。空は呆れる程に遠く、目に見える小さな世界は光輝いている。
遠野に来て初めて歩いたのが、千葉家を目指す綾織の道だった。そんなことを思い出しながら、夏にしては涼しい山の上の風を感じながら歩いた。
高清水は高々800mにも満たない山だが、それでも山頂から見上げる空はとても近く、手を伸ばせばあの雲が掴めそうに感じる。
上空には少し雲が増えて来た。夏の遠野らしい空模様だ。
一度小屋に戻り、ひと息吐く。今度は小屋の向こう側の道にも足を延ばして見ることにした。