西日が照り付ける凍った地面が、鈍く輝いている。日中僅かに気温が上がり、溶け掛けた雪がしかし夜にはまた凍り、それを繰り返して長い冬の道が出来上がって行くのだ。
強い風に吹かれ、雪が波を打っている。冬の間、一日として同じ形になる日はないだろう。
上の道は住宅地までは人の往来が多く、ところどころ路面が覗く程雪が無くなっているが、最後の住宅から先はカチカチに凍っている。
以前は子供たちが希望を胸に抱いて歩いていたであろう道が、今では人通りも殆ど無い寂しい道になってしまった。
冷たい冬の山を背に、分校の校舎が見えて来た。
たまに思い出したように此処に足が向くが、やはり子供たちの声が聞こえなくなり、その器だけが残っているような姿には、どうしても悲しみが込み上げて来る。
校舎はもう未来へ向けて歩みを進めることはなく、太陽の光さえも届かない。すぐ側には暖かな陽だまりがあるというのに、この一角だけが時間と共に凍り付いてしまったかのようである。
年月を経る程、この学校のことを思い出す人は少なくなって行くだろう。残念だが、それが学校がひとつなくなるということである。