土手は宮守川の内側を回り、名も無き小さな水路との合流地点へ。釜石線の低い高架(?)が見えているが、あの向こうにはエイスリンちゃんの水道橋があることで有名だ。
川の向こうには何軒か住宅があり、土手に散歩に来る人も多いのだろうか。何人かの足によって雪が踏み固められている。
田圃を貫く直線の道は、意外に長く400mくらいあった。この雪原の反対側までやって来たことになるわけで、分校へ向かう道が遠くに見えている。
こう一面白くては、何処が道なのかもよくわからない。途中何度か、埋もれた田圃の畔に引っ掛かりながら、雪の中を歩き回った。
そのうちに何時もの道を見付け、俺は上の道に戻ることにした。
山側は結構な傾斜の中で、苦労して地面を耕しているのであろうことがわかる。
太陽が一瞬陰り、宮守の街全てが暗い影に覆われる。少し様子を見ていたら、またすぐに日差しが戻り、真っ白な雪原が姿を見せる。
少ないとはいえ道に残った雪は車に踏み固められ、西日を反射して冷たい光を放っていた。
上の道からは、遠く一羽根峠まで見晴らせた。あそこが宮守の街の終わりである。
さて、此処から街に戻るか、街外れに向かうかだが……。
まだ日没までもう少し時間があるので、このまま分校まで歩いて行ってみることにする。