遠野放浪記 2015.01.11.-03 街角行進曲 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

パレードは小学校を出発し、岩手銀行の支店前を通過して市街地へ入る。このあたりは、日枝神社で一宿をお借りするときには何時も通っている道なので、大変懐かしい。

 

 

 

 

旗手、ラッパ隊に先導され、続いて消防団員たちが勇ましく歩いて来る。ラッパを吹かない一般の(?)団員たちは、ひと塊になって黙々と歩いて来るので、何だか凄い迫力である。

 

 

 

 

団員たちは地区ごとに一団になり、切れ目なく長蛇の列になって行進している。この日は市街地の信号も全て停止し、消防団のための花道が出来上がっているのだ。

 

 

 

 

行列は大徳屋麹店たくみの四つ角を曲がり、駅前の目抜き通りに差し掛かった。とぴあや駅では団員たちの到着を今や遅しと待ち受けている人たちがいるだろうから、此処がパレードの最初の山場である。

 

 

 

新穀町にラッパの音が響き渡り、真冬の澄んだ空気を切り裂いて熱気が押し寄せて来る。太鼓やシンバルの響きも加わり、遠野全体に一気に春が来たような盛り上がりである。

 

 

 

 

沿道のベテラン隊員が、沿道の観衆に目配せする。何十人、何百人という団員たちを率いて来た彼にとっても、此処が大きな晴れ舞台だろう。

 

 

 

 

偉大なベテラン団員たちの背中を見て来た大勢の若い団員たちにも、今や後光が差している。この姿を見て将来は自分もこの中に加わりたいと思う子供たちが出て来れば、遠野の未来は明るいだろう。