刺すように冷たい冬の空気が北関東に朝を呼ぶ。俺はこの景色を後何回、次の春は、夏は拝めるのだろうかと考えながら、窓の外を眺めていた。
この冬はまだ雪がなく、年によっては真っ白に染まる大地が、未だ稲刈り後の荒涼とした素肌がそのまま見えている。
しかし季節は前へ進んでいる。雲の影に見える山肌には、秋にはなかった白いひと筋ひと筋が時間の流れを刻んでいる。
黒磯が近付くと、空を白い雲が覆い、地上に影が忍び寄って来た。ひと雪あるかもしれない。
光と影、暖かい光と冷たい雪が同居する冬らしい空の光景である。川面の光が空に還り、真冬の吹雪を呼び寄せている。
雪が少ないと、農作物や山菜の出来に影響する。早いところ真っ白に染まる大地を見たいものだ。