遠野放浪記 2014.11.24.-07 夕食代 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

最終レースが終わったのが16時前。水沢の空はもう闇に支配されつつあった。運命に逆らうかのように真っ直ぐに伸びた飛行機雲が、暮れ行く太陽の光を浴びてひと筋の流星のように輝いていた。

 

 

川沿いの低地から再び坂を上がり、街がある高台に戻る。

 

 

街灯に明かりが灯り、道行く車のヘッドライト・テールライトが地上の星屑のように視界の彼方へ消えて行く。

 

 

少し道に迷ったりして駅前に戻るのに30分くらい掛かったが、その間にも空は見る見る暗くなり、一本裏に入った道は寂しい雰囲気だ。

 

 

 

17時前には真っ暗になっていた。駅には盛岡行きの汽車を待つ人が訪れており、駅員が改札口に立って検札を行っていた。

俺が乗る一ノ関行きの汽車はまだ来ないので、待合でゆっくり待つことにした。

 

 

 

今日は全く馬券が当たらなかったので、豪華なメシはなしにし、駅の売店でうまい棒を購入。納豆味がなかったのは残念だが、レアなチョコ味など種類は結構揃っていた。汽車が来るまでの間に全て平らげた。

 

 

やがて汽車の時間になり、駅員が改札を始めた。俺は三連休乗車券を見せ、人がいない夜のホームに出て汽車を待った。

 

 

一ノ関行きの汽車には、俺の他に数人の乗客が乗り込んだ。さっきまで待合にもホームにもいなかったのに、何処から現れたのだろうか。

 

 

こうして俺の初めての水沢滞在は終わった。