遠野放浪記 2014.11.23.-20 夜に迷う | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

駅構内の店や観光案内所は、既にシャッターを下ろしている。人はおらずがらんとしていて、少し寂しい。

 

 

切符売り場だけが煌々と明かりを灯している。

 

 

待合はかなり広く、一度に何十人もの人が滞在出来る程だ。今も次の汽車待ちなのか、迎え待ちなのか、3人程の人が屯ろしていた。

 

 

 

何と囲炉裏を模した座敷まである。冬の寒い時期には、本当に火が入ることがあるのだろうか。

 

 

この待合で、晩ごはんを食べて行くことにした。

キャンベルスープの缶詰シリーズから、コーンポタージュをいただく。例によって2倍濃縮のスープが、ごはんと意外に合う。独りで長い旅をしていると、こうカロリーがたっぷり含まれた食べものが大変美味しい。

 

 

食事を終え、駅を飛び出したのは21時前。まだそう遅くはない時間だが、駅前は静かだった。

 

 

駅前の一角にある夜の店は明かりが灯り賑わっているが、大半がこの時間になると閉まってしまう店ばかりで、アーケードは寝静まっていた。

 

 

 

全く知らない街で寝床を探すのは、久しく忘れていた感覚である。初めてそんな経験をしたのはもう6年半も前のことだ。

いろいろあった6年半、まだ俺の旅は当分終わらない。その途中で辿り着いた水沢という街は、莫逆の友となり得るだろうか。そんなことを考えながら、俺は中心市街地の外れに小さな公園を見付け、その片隅で眠りに就くのであった。