遠野放浪記 2014.11.22.-12 知識と好奇心 | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

暗くなり始めた空に向かって聳えるマルカンデパートの姿が城塞のように見える。その最上階に、食堂の明かりが灯っている。

 

 

前回の来訪より少し早い時間なので、昼から夜へ移り変わって行く街の姿が見られる。

 

 

 

 

アーケードにはあまり人がいない。土曜の夕方ともなれば、街へ繰り出す若者たちがいてもおかしくないのだが……。

まだ酒を酌み交わす時間には少々早いので、これから賑やかになって行くのだろうか。

 

 

 

 

西の空には赤く焼けた雲が残っている。街の彼方には、北関東から北日本までを東西に隔てる奥羽山脈が連なっている。全長およそ500kmの、日本最大の山系である。

 

 

果てしなく深い山々であることが此処から見るだけでもわかる。あの僅かに稜線が低くなっているところが、北上線が走るあたりだろうか。

 

 

 

暫く景色を眺めながらゆっくりしていたが、まだ夕食には早い時間帯であるため、店内は中々混んで来ない。ただ、窓際には学生の団体らしき一団がいたため、俺は静かな内側の席を選んで座った。

 

 

今回も食事とデザートを頼んだのだが、両方同時に持って来ても良いかと問われたので良いと答えると、デザートだけ光の速さで運ばれて来た。

今回はちょっと豪華なティラミスパフェにした。ソフトクリームをメインに、コーヒーパウダーやソースが入っていて少し大人の味だ。

 

 

食事はナポリカツにした。ソフトクリームと並ぶマルカンの二大名物であるといった噂もあり、県内のコンビニでおべんとうのメニューとしてコラボレーションしたこともある。

見てのとおり兎に角ボリュームたっぷりなのだが、これだけのプレートで当時の値段は¥650だった。現在は流石に値上がりしたが、これでこの価格は激安だ。

 

 

早めの夕食を終え、極めておなかいっぱいになった。そろそろ晩ごはんを食べに足を運ぶ家族連れで混み出す頃になり、俺は汽車に乗るために再び花巻駅へ向かった。