遠野放浪記 2014.11.22.-11 大根と神々 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

花巻駅を出た俺は自然と中心街に向かって歩き始めていた。

駅前の小瀬川新聞店はもう御馴染みだ。

 

 

街は夜に包まれ、空は地上近くに辛うじて淡い紅が残っているのみだ。

 

 

路地裏に知る人ぞ知る名店がある……かもしれない。

 

 

アーケード街には明かりが灯り始めているが、何分微妙な時間帯で、昼の店は大方閉まっているし夜の店は未だ開いていないところが多い。

 

 

そんな寂し気な商店街の裏路地に、小さな御社を発見した。

 

 

確か此処には未だ足を運んでいなかった筈。

 

 

周囲には住宅が多く、境内というような広い敷地は無いが、街の暮らしの中に溶け込んでいるかのような佇まいだ。

 

 

 

この神社は金刀比羅神社で、創建年代は不明だが、代々石亀さんという家が管理しているらしい。本来は海の守り神であるらしいが、内陸の花巻にあるのは、此処から釜石や大船渡など沿岸に出て漁をしていた人がこの街にもいたということだろうか。

 

 

 

中には鏡が安置されていた。周囲が暗くなる中で、鏡だけが光を集めてその姿を浮かび上がらせている。

 

 

御社の周囲には、地元の人でないと入らないような細い路地が迷路のように張り巡らされている。

 

 

 

近くの家では大根を干していた。寒干し大根にしてはあまりにも気が早いが、見たところ丸のまま吊るしているようなので、単に風通しが良いところで保管しているだけだろう。

 

 

再びアーケード街に出て、下の街を目指して行く。

 

 

折角花巻に寄り道しているので、今回も晩ごはんはマルカンにしよう。