遠野放浪記 2014.11.22.-10 現存 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

西日も陰り始めた花巻駅のホームは、がらんとして何となく寂しい雰囲気だった。

 

 

空には雲が多くなって来た。晩秋の花巻に紅葉狩りの雨が近付いている。

 

 

街は光と影だけの存在に変わり、物質としての概念すら失われて行くようだ。

 

 

全てが紅く染まり、そしてその輪郭が精神世界の事象へと昇華して行く時間帯。一番懐かしく、優しく、儚い時間である。

 

 

既にヘッドライトを灯した釜石線の汽車が1番ホームに入って来た。何時もはこれに乗って遠野へ向かうが、この時期は現地に到着する時分にはすっかり真っ暗だろう。

 

 

 

 

 

今日はこの汽車には乗らない。

 

 

少し何もない時間を楽しもうと、前回に続いて花巻の街に繰り出した。

 

 

といっても、例によって目的地などは何ひとつ決めていない。花巻の駅周辺で未だ足を運んでいない場所はある筈だが、今回は何が見付かるだろうか。