遠野放浪記 2014.11.03.-08 本当の幸いはいったい何だろう | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

時計は20時を回り、我々は新幹線に乗るために盛岡駅へ。

今や新幹線も北海道へ渡ろうかという時代だが、盛岡駅は未だに北の玄関口としての役割を立派に守っている。

 

 

ベンチで新幹線を待つ間、競馬場で貰ったいわちくの物産を開けてみた(いわちくがレースに協賛していたため無料で配っていたのだ)。

 

 

エルンテフェストというソーセージと、焼豚だった。エルンテフェストとは、ドイツ語で収穫祭という意味らしい。

明日から、東京の食卓も少し楽しくなりそうだ。

 

 

俺は三連休パスで岩手に来ていたので、新幹線の自由席券だけ追加して乗車。彼女は別ルートで来たので、普通に切符を買っていた。

 

 

盛岡駅の新幹線ホームに立つのは、高校の修学旅行と新卒の内定式以来、三度目だ。

盛岡から新幹線に乗って東京に帰るのは、初めての経験だ。

 

 

宮沢賢治や石川啄木がほぼ一日掛かりで旅をした盛岡から東京への鉄路も、今は僅か3時間で過ぎ去ってしまう。

 

 

我々は上野駅に降り立ち、そして彼女は当時住んでいた西新井に帰って行った。

俺は本郷の家に戻り、明日から始まる日常に備えるのだ。

 

 

もう日付が変わろうかという時間なのに、人出が多い。

 

 

パティに跨り、池之端から東大を抜けて菊坂へ。このあたりまで来ると、流石に裏通りは静かで、白山通りの喧騒も微かにしか届かない。

 

 

某マンションの4階にある我が家に戻り、取り敢えず荷物だけ解いておく。

盛岡から持ち帰った荷物の中には、彼女が駅で買って持たせてくれた五枚橋ワイナリーの林檎ワインがあった。俺がワイン好きだということで選んでくれたのだが、これは彼女と一緒に飲みたい。

 

 

この先まだまだ、本当の幸いを手にするまでには色々なことがあるだろう。しかし今、俺は初めて自分ではない誰かの幸いを願い、大切な人の幸いが実現することが自分の幸いなのだと感じている。それだけ忘れなければ少なくとも迷うことはもうないだろう。

明日目覚めたら、世界は全く違って見えるだろう。そのようなことを考えながら、今回の旅も無事終わるのであった。