遠野放浪記 2014.09.14.-05 思い出にさようなら | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

街外れには緑に覆われた広場があり、かつてこの場所に何があったのかは知るべくもないが、今も街の人の憩いの場になっている。


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僅かに草に埋もれた石垣などを確認することが出来る。鉱山鉄道の駅があり、この場所から汽車に鉄鉱石と男たちが乗り込んで海へ向かったのかもしれない。

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背後に聳える山は、この街の歴史の盛衰をずっと見て来たのだろうか。

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広場の反対側には釜石鉱山の歴史を解説する看板が掲げられている。やはり、この広場は元は鉱山鉄道の駅だったようだ。

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山側にはもう誰にも使われていないであろう階段がある。この上にはかつて、数軒の鉱山住宅があったようだ。


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今は建物の跡形も無く、地面は俺の腰程の背丈がある草に覆われ、当時の痕跡を探すことすら難しい。

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険しい峠道の途中に、出来るだけ多くの人が暮らせるように平らに整地した場所なのだろう。決して交通の便も良いとは言えない土地に苦労して人々が移り住んだのだろうが、鉱山が役目を終えればその殆どが他の土地へ去ってしまうというのは悲しいが仕方のないことなのかもしれない。

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そろそろ汽車の時間が近いので、再び駅前へ戻って来た。

今は静かな山里としてゆっくりとした時間が流れるこの街は、今後10年、20年と経ってどう変わって行くのだろうか。

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駅前には県交通のバス停があり、釜石方面への交通手段は今もそれなりにある。

かつては商店であり、鉱山で働く人々で賑わっていたであろう建物が、朽ち行くままに残っている様子が寂しい。

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駅に戻って汽車を待つ。人々が苦労して越えた峠を、汽車はいとも簡単に越えてしまう。

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俺は旅人なので、この街の歴史に思いを馳せつつも時間が来れば別れを告げなければならない。次にいつ大橋に足を運べるのかはわからないが、いつか鉄とラグビーの街に今とは違った形で向き合い、その始まりの場所を訪ねたくなったとき、再び大橋へ戻って来よう。