遠野放浪記 2014.08.20.-10 もうひとつの垣根を越えて | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

荒川高原の直下には、実はあまり知られていないが分かれ道があり、その道は森の中に続いている。


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ガードレールが残っており、かつては此処も道路が敷かれ、車が往来していたことがわかる。今は見ての通り、その痕跡を探す方が難しいくらいだが……。

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一緒に旅をして来た荒川の流れは穏やかである。

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藪をずんずんと乗り越えて行くと、すぐに舗装すらされていない荒れ道に変わる。しかしこのあたりも、かつて車や人の通行があったようで迷ってしまうことはなさそうだ。

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荒川は、荒れ道から見下ろす位置にある。

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この先に、俺が今回荒川高原を訪れるにあたって是非拝みたかった、もうひとつの名勝がある筈なのだ。

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道はやがて小さな広場に行き当たり、完全に途切れてしまった。

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と、いうことはこの先は、眼下に見える荒川に向かって道なき道を下るしかないのか……。

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道から川への高低差はあまりないが、ほぼ崖を下る覚悟が無いと駄目だ。

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昔はどうだったか知らないが、完全に藪の低木だけを頼りに滑り落ちないように下らなければならない状況だ。今、この道を通る人がどれ程いるのだろうか。

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木の根を掴んで自らを斜面に留めながら、少しでも下り易い道を見付けて川面を目指す。よく見ていると、実は他よりも少しだけ歩き易い道が残っていることに気付く。きっと昔の人が通った道の名残だろう。

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やがて、どうどうと音を立てる滝のすぐ上に差し掛かった。

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これが俺が見たかった荒川の知られざる名勝、長瀞の滝である。地図にも載っていないような隠された宝物を、探して探してようやく見付け出した気分だ。