遠野放浪記 2014.07.26.-01 別れと新しい出会い | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

エイスリンちゃんの新しい一年が始まりを告げ、俺にとってこの日は何でもない普通の土曜日。

昨日あれだけいた同行の士たちは殆どが車の中でまだ眠っており、たった独りでの目覚めだった。


朝食は缶つまプレミアムのオイルサーディンをお供にごはんを食べた。美味かったが、油ものなので白いごはんにはあまり合わなかった……酒があればより良かったのかもしれないが。


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外はすっかり明るくなっており、うっすらと雲が掛かった青空は宇宙まで突き抜けるように濃かった。

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爽やかな岩手の夏の朝である。

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道の駅を出発した俺は、今日一日を有意義に過ごすため、以前から訪れて見たかった土地に足を運ぶことにした。

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彼の地の名は迷岡という。かつて、とある侍が敵の追手から逃れる際にこの地に誘い込んで迷わせたり、逆に自分が迷ったりといった史実が地名になったとされているが、一部の研究者の間ではマヨヒガとの関連があるのではないかという説が根強く支持されており、宮守女子高校に通うシロの実家が迷岡にあるのではないかとも言われていたりいなかったりするのだ。しかし本当にマヨヒガ伝説と関わりがある土地であるならば、マヨヒガの主たる能力を持ったシロが住んでいても不思議ではなく、むしろ当然の帰結だとも言える。

ということで、早速出発だ!

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釜石街道を遠野方面に歩いて行くと、次第に宮守の街の中心を離れて行くことが実感出来る。

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郵便局やガソリンスタンド、市役所の宮守支所などがある一帯を通り過ぎると、家の姿も疎らになり、広い田園と森そして山が歩く道のすぐ側まで迫って来る。

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途中に小さな集落はあるが、商店などはなさそうだ。

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代々自らの土地を守りながら、静かにこの場所で暮らして来たのだろう。

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そんな集落も、段々と規模が小さくなり、数軒の家々が寄り添うように集まっているだけの光景が現れては消えて行った。

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俺は適当なところで釜石街道を離れ、迷岡へと通じる小さな道へ踏み込んだ。