遠野放浪記 2014.07.19.-07 さよなら | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

日没が迫る岩手も雨、只管雨。


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花巻で雨が降っていて、遠野の天気が良かったためしはない。ということは、遠野も今日は一日雨なのだろう。


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せめて一瞬だけでも太陽が見たかったが、もう諦める以外にあるまい。

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東和から市境の峠に差し掛かり、発電所、岩根橋の集落に見送られて次の街へ。

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峠を越えて辿り着いた宮守も、しっとりと雨に濡れていた。

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霞の向こうに、夏を迎えて生命力に溢れる田園、学校、そして遠い山々。せめてこの姿を拝めただけでも幸いだった。

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汽車は宮守の街に差し掛かり、遠くにめがね橋の姿が見えて来た。

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街も駅も花も、一日降り続いた雨に濡れそぼっている。あれは夕餉の支度の湯気なのだろうか、それとも地面から立ち上る水煙なのだろうか……。

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宮守駅を出発した汽車はめがね橋を渡り、次の峠を越えて遠野盆地を目指す。

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小さな宮守の街が最後まで見送ってくれたが、その姿もやがて森の木々に隠れ、見えなくなってしまった。