遠野放浪記 2014.05.06.-07 ロストパラダイス | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

荒れた砂利道を一気に下り、俺はまた鍋倉山・愛宕山・九重沢への分岐点に差し掛かった。


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この標識が登場すると、俄かに慣れ親しんだ場所へ戻って来たという気がする。

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以前から気になっていた物見山だが、山頂に至るまでにも様々な見所があり、大変楽しかった。

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桜の木も小さな白い花も、俺を見送ってくれているようだった。次は夜に物見山を訪れ、あの展望地から見渡す遠野の夜景がどのようなものか、この目で確かめてみたい。

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やがて鍋倉城の史跡を解説する看板が登場し、道は完全に鍋倉山の圏内に入った。

この場所には行燈掘という御堀があったようだが、今はその面影も無い。

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やはり地理的に鍋倉城と物見山は密接に関係があったようで、俺が通って来たあの道にも砦のようなものが築かれていたらしい。追い詰められた際には物見山から小友へ逃げ延びる計画なんかもあったのだろうか。

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城の裏門に当たる搦手門では、物見山へ入る者たちの監視も行われていたのだろうか。やはりその面影はもう無い。

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墓地が見えて来たら、鍋倉山の出口ももうすぐだ。後は脇目も振らずに最後の坂を下るだけだ。

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無事に南部神社の一の鳥居前に到着。朝の散歩と言うにはかなりハードな山歩きだったが、汗をかいた身体に浴びる春の風はとても気持ち良かった。

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時計を見ると……後5分程で、予定していたよりも1本早い汽車が遠野駅に到着する。これに乗れれば、1時間くらい早く帰途に就くことが出来る。