遠野放浪記 2014.05.03.-02 山にも街にも | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

北関東の山間に広がる小さな集落を渡り歩き、列車は東北へと向かって行く。


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箒川の美しい流れを越えると、もう間もなく黒磯に到着だ。

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広大な田園地帯が終わり、列車は束の間、人々が行き交う賑やかな駅に身を寄せる。

水鏡の中に立つ小さな踏切を待つ人は、今はいない。

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黒磯駅を過ぎると、列車は次第に山間部に差し掛かり、人里からは少しずつ遠ざかって行く。

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街は小さくなり、遥か遠くに見える山並みは未だに白い雪を被っている。

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青い嶺が映える黒川を越え、列車はいよいよ福島県に突入。北関東と南東北の境目に暮らす人々の表情を、俺は未だ知らない。

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何時の間にか街の姿は遥か彼方に遠ざかった。ミニチュアの風景に春の日差しが降り注ぎ、野山は暖かな緑色に輝いている。

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険しい山の中にある僅かな平地に、雄大な山々が映る水鏡の風景が広がっている。人々は田植えに精を出し、東北の春は一気に歩みを進めそうだ。

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長い山の旅を終えた列車は再び平地に降り、白河小峰城に見送られて北へ進む。

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白河を越えれば、いよいよ東北。一週間足らずでどれだけ季節が進んだのだろうか。