遠野放浪記 2014.04.28.-17 豆と肉 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

街に戻った俺は、日が暮れるまでの間におやつでも食べようと思っていたのだが、生憎なことにのんのんもCocoKanaもお休み。何処か手軽に入れる店は無いか……と街を彷徨っていたところ、やおちゅうという店が扉を開いていた。


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初めて入る店だが、どのようなものが食べられるのだろう……。

入口では、いきなり凄い迫力の八幡宮の鹿が出迎えてくれる。

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背後には流鏑馬の当たり矢も掲げられていたので、もしかしたら店主は町会の有力者なのかもしれない。

その他にも、昔の道具や可愛らしいカッパの人形なんかが所狭しと並んでいる。

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店内は落ち着いた雰囲気。おやつには少々遅く、夕食には早い時間だからか、客は他にいなかった。

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当初俺は甘いものをいただこうと思っていたのだが、どうやらこの店はカレーが美味いらしいので、豆とひき肉のカレーを発注することにした。

トマトベースで甘めのソースで、数種類の豆がほっくりと煮込まれていて、大変に優しい口当たり。深みがありながら後味しつこくなく、幾らでも食べられそうだ。遠野の他の店でもカレーを食べて来たが、そんなカレー好きの俺が判断するに今まで遠野で食べたカレーの中でも一番美味い。

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日記を書いたりして暫くのんびり過ごした後、店主に礼を言って店を出た。


思いがけずしっかり食べてしまい、夕食にはもう少し時間を置きたいところだったが、明日の予定を考えながら街を彷徨っていたら、すぐに空は暗くなり、おなかが減って来た。

何せほぼ二日間、山にいたから食事は質素だった。遠野で過ごす最後の晩はちょっと贅沢しようと、街外れにある山小屋を訪ねた。

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発注したのは、ハンバーグに唐揚げとエビフライがセットになった定食。山小屋の中でも一番ボリュームがあるメニューだ。

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選べるハンバーグのソースは、ホワイトソースにして貰った。

地元民に人気の山小屋の中でも、特にこのハンバーグは自慢のメニューだ。ジューシーで食べ応えがあり、おなかもいっぱいになる。

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カレーにハンバーグと、好きなものを好きなだけ食べた晩だった。遠野の果てのさらにその先へは行けなかったが、孤独な旅の中でいただく暖かいごはんが心に沁みた。