遠野放浪記 2014.04.28.-14 和野彷徨 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

一ノ渡から市街地へ向けて足を進めつつ土淵の集落の様子を見て、ふと、今ならば以前に断念したあの場所へ行くことが出来るのではないかと思い、俺は途中で道を外れた。


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土淵の街が遠くになり、森と山が近付く。俺は土淵から山口、貞任へと向かうその途中にある和野の集落に向かった。

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かっぱロードの終点に和野のバス停があるが、集落の中心はもう少し先へ進んだ場所にある。

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以前訪れたときには、田畑は雪に埋もれ歩くべき道すらわからなくなっていたが、今はもうすっかり春の準備が整い、俺の前には小さいが確かな道がはっきりと見えていた。

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和野地区の外れに小高い山があり、これを愛宕山という。

急な斜面を上った先に、愛宕様を祀った神社がある。初めて訪れたのが冬だったため、まず山の麓に辿り着くことが困難だったうえに斜面を上れずに参拝を断念したが、すっかり雪が溶けてしまった今の季節なら……。

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山に入る道の入り口に立つ一本の木に、ささやかながら注連飾りが施されていた。俺よりずっと先に、訪れる人がいたのだ。

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果たして斜面の雪はすっかり姿を隠していた。これならば頑張れば神社まで上れそうだ。

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斜面は落ち葉と枯れ枝に覆われていて、見た目以上に滑り易い。白望山とオーヅ岳に挑戦して来た経験が試されている。