遠野放浪記 2014.04.27.-15 解放区 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

第十二号橋を渡ると、何かの境界線を決定的に越えた感覚がある。白望山は、もう遥か彼方だ。


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林道沿いに残る林業の跡といった、人の手がこの場所まで及んでいることが感じられる痕跡が其処此処に見られる。

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相変わらず雪は多いが、先程まであった大自然の、太刀打ちする気すら失せるような恐ろしいまでの力は和らいでいる。

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タヌキと出会った砂防ダム付近を通り掛かる。まだ冷気が居残る琴畑の奥地で、いつか再び彼(?)と会えるだろうか。

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雪が会ったりなかったりする林道をゆっくり歩き、確実に再び琴畑の集落は近付いている。

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緩やかな角を曲がると、来るときには無かった倒木が道を塞いでいた。無数の細い枝が完全に道に覆い被さってしまっていたが、苦労しながらも何とか乗り越えることが出来た。

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恐らく俺が山に入っている間に、長い雪で弱っていた木が、突風か或いは別の何かによって倒れてしまったのだろう。大いなる自然の力も、さらに強い力によって飲み込まれる。これが人知の及ばない世界での出来事だ。

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そして白望山から三時間近く歩き続け、ようやくカーブミラーの下で待っていたパティと合流出来た。

荷物も全て無事だ。数時間とはいえ離れ離れになっていた時間は非常に寂しく、再び元気な状態で戻って来られて本当に良かった。

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ようやく非日常から日常に戻って来られた気がして、少しばかり脚が軽くなる。パティのおかげで、あれ程苦労して歩いて来た林道も、早いの何の。

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新山への道との交差点に辿り着く頃には、すっかり身体が暖かくなっていた。

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どうせこんなところまで誰も来ないだろうから、道のど真ん中に腰掛けて遅めの昼ごはんをいただくことにする。

今回は丸●屋のねぎ塩豚そぼろの瓶詰をごはんにかけて食べた。ごはんは山の冷気ですっかり固くなっていたが、そぼろと絡んで美味しく食べられた。

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此処まで来れば、集落は近い。緩やかな下り坂でパティの力も借りられるし、早々に落ち着ける場所まで戻りたい。