遠野放浪記 2014.04.27.-11 今日は独りで | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

白望山を背にし、俺は再び厚く積もった雪の上を歩き始めた。

遠野側へ下り、林道の途中に待たせてあるパティと合流するのだ。


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下りの方が足腰への負担は大きく、増してや足元は不安定だ。林道に戻るまでは油断せず、ゆっくりと慎重に下って行く。

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振り返ってみると、随分と高いところまで上って来ていたことが実感出来る。登山道は林に覆われていて、上っているときにはそれが感じられ辛いが……。

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山はこの僅かな時間のうちにも、刻一刻と姿を変えて行っている気がする。

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気を抜くと、あっという間に道に迷いそうだ……。

やはり白望山は生きている山なのかもしれない。

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木が幹の途中でぽっきりと折れていたりと、かなり危険なところもある。

今歩いている頭上の木も、まさにこうならないとも限らない。何が起こっても不思議ではない場所だ。

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時折緩やかになり、また厳しくなる斜面を慎重に下り、広場では次の道を見失わないように目配せする。

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何とはないが、今俺は白望山と一体になれている気がして、少し誇らしい。

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やがて白望山登山で目印になる、大きな洞のある木が見えて来た。

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洞の主はやはり留守のようだ。

此処まで来れば、道程は残り半分といったところだ。