遠野放浪記 2014.04.26.-04 花 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

南東北では、今まさに春がこの地に足を踏み入れようとしているのだという貴重な景色に出会える。


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まだ何処となく荒涼とした冬の面影が残る大地に、順を追うようにして命の水が満たされて行く。山には可憐な山桜が咲き、春の訪れをひと足先に里に伝えようとしている。

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少しずつ目を覚ます菜の花に、人知れずたった一本で咲く桜。誰の目にも触れないような風景の片隅に、痛い程に美しい東北の春の欠片が落ちている。

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山の雪も、低い場所から順に姿を消して行く。遠くの山の頂には、まだ白い冬がいっぱいだ。あそこに遅い春の足音が聞こえる頃になると、地上には早くも初夏の匂いがして来ることだろう。

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列車は福島県の北の玄関口、福島駅に到着。次に目指すは、いよいよ東北一の大都会・仙台だ。

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長い東北本線の中でも取り分け好きな景色が広がる、福島と宮城の県境に間も無く差し掛かる。