遠野放浪記 2014.04.26.-03 春の白河越え | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

道路と新幹線によって隔てられてしまった土地にも、春はやって来ていた。


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小さな山里の数々が其々に訪れた春と向き合い、季節を重ねて行くのだろう。

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列車はそんな街からも離れ、生命の吐息も密やかな山の中へと入って行く。

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里では散ってしまった桜は、山の中ではまだその姿を現世に留めている。ともすれば誰もが見逃してしまいそうな景色にこそ、世界の美しさが表されている。

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一瞬、山と森が途切れると、遥か彼方に未だ雪を戴いた青い山々の姿が見晴らせた。

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このあたりではまだ、ようやく田圃に水を張る準備を始めたばかりといったところ。同じ土地でも、山と里とによって季節の進み方は大きく違う。

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やがて列車は山を下り、再び地上の人里へ。北関東と南東北を隔てる白河を越える。

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太陽の季節。地上は遍く明るい光で満たされている。