遠野放浪記 2014.03.24.-01 春に向けての出発 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

季節は進み、6時前には空が白んで来る時期になった。確実に春の暖かい風は遠野にも近付いている。太陽が眩しくなる頃に、再び遠野を訪れることを夢見て、今日は始発の汽車で遠野を発つ。


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朝ごはんはビスケットで軽く済ませ、遠野駅へ。今朝も灰色の雲が街を覆い、駅に集まって来る人たちも心なしか俯き加減だ。

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青春18きっぷに判子を押して貰い、ホームへ。汽車は直ぐにやって来る。

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既に何人かの乗客が列を成して汽車の到着を待っていた。

程無くして勇ましい汽笛の音を響かせ、釜石から仙人峠を越えて汽車がやって来た。

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美しい遠野の景色が、車窓の後方へ滑って行く。大好きな遠野の街が、現実の世界から夢の彼方へと消えて行く。

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ようやく山の稜線が薄紅色に燃え始め、その色が猿ヶ石川に映り込んでいる。川面には少々のんびり屋の白鳥が数羽群れを成し、さてこれからどうしようかと相談しているように見える。

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街を出て、汽車は綾織の水田地帯に差し掛かる。まだ冬がしぶとく居座っているように感じた。

この風景がいつまで残り続けるだろうか。

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汽車は朝日を導くように遠野盆地を西へ進み、その途中で小さな無人駅に立ち寄って行く。

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人が乗り降りすることもあれば、冷たい外気だけを乗せて出発してしまうこともある。

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時に哀愁さえ漂う釜石線は、今朝も黙々と人々を内陸部へと運んで行く。