遠野放浪記 2014.03.23.-12 道に迷う | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

和野集落の道をふらふらと歩き回ってみるが、一向に目的の神社は見付からない。


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冬には人が通らず、埋もれてしまう道もあったりするので、その先にあるとするともう絶望的だ。

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集落の中心以外は、雪掻きの手も届かないのだろう。そこそこの規模の街なのに、人や車と未だにすれ違わないことから、そもそも目抜き通り以外は雪掻きをする必要性に迫られていないのかもしれない。

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古の時代から立ち続ける石碑に、幾多の風雪に耐えて来た老木。大通りのすぐ傍らで、季節と共に時間が止まってしまったかのような土地である。

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集落を彷徨ううちに、広大な田園地帯に差し掛かった。家は全く姿を消してしまい、寂しい山が目前に迫っている。

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俺は目に見えている道を頼りに遠野遺産を探していたが、最早歩ける道を頼るといった軟弱な考えは捨てるべきなのかもしれない。道沿いにないのならば、後は冬の間に埋もれてしまった農道、畦道を当たってみるしかない。

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こうなると目印などは全くと言って良い程無く、苦労して雪を掻き分けて行っても徒労に終わるかもしれない。それでも、何もせずに引き上げるよりは僅かな可能性に、俺は賭けてみることにした。