遠野放浪記 2014.03.21.-13 小舟戸八幡宮・そのに | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

小舟戸八幡宮がこの地に勧請された時期は定かではないが、源頼義が安倍氏討伐のための祈願所として、1058年から1065年の間くらいに勧請されたというのが確かなようだ。


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国道4号から外れてイギリス海岸へ向かう道すがらにある当社は、花巻神社と比べてひっそりとしており、多くの人が訪れている気配は無い。とはいえ、街外れ――鳥谷崎城の鬼門にもあたる――を守護する神社として、地元の人々には大切にされ、厚く信仰されて来た。

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この神社を通り過ぎれば、すぐに北上川とぶつかり、花巻から外へ出て行くのである。灰色の雲に覆われた今日の天気も相俟って、何だか寂しい雰囲気だ。

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本殿は、花巻神社よりも小ぢんまりとしているが、立派な造りに歴史が刻まれている様が見事だ。

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社号の字体にも実に味がある。

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本殿内部には、他の神社と同様に、何かに護られているかのような暖かい空気が流れているのを感じた。

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あの日、花巻駅からイギリス海岸へ向かうだけだった道程にある花巻神社と小舟戸八幡宮に、今日5年越しにようやく足を運ぶことが出来た。やはりこの僅かな時間は、神様が与えてくださったものだったのだろう。

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気付けば、もう日が暮れる。花巻の街に夜が訪れる。俺はそろそろ、この街を離れて次の目的地へ向かわなければならない。

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釜石線の遅い始発列車が、間も無く出発する。俺は小舟戸八幡宮に別れを告げ、少し急ぎ足で駅へと戻った。