列車は僅か2駅で終点の北上駅に到着し、再び盛岡に向けて戻って行く。
何と停車場はレアな0番ホームだ。そして隣の1番ホームには、既に一ノ関行きの列車がスタンバイしている。
北上駅には僅か5分足らずの滞在。乗客たちは皆足早に乗り換え先の列車に入って行く。
北上から南の大地も、真っ白な雪に全てが包まれていた。何処まで走っても、雪に支配された、未だ春遠い街並み。
そんな景色の中でも、列車は愚直に走り続ける。青空に向かって走り続ける。
東北が本当に太陽の光に包まれるのは、まだまだ先のことになるだろう。それでも、この土地を愛する人たちと列車の力があれば、長い冬も寂しくない。
岩手県南の大きな街を過ぎ、一ノ関が近付くに連れ、空の雲も晴れて来た。
車窓に映る幾つもの道。この道の数だけ、人々の営みがこの土地にある。
明けない冬、旅はまだ続く。