遠野放浪記 2014.02.16.-01 静かな夜が明けて | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

不安の中で過ごした一夜が明け、俺は日の出とともに目を覚ました。

外は不気味な程に静かだった。雪や強い風は今のところ止んでいるようだ……。


俺は身支度を整え、手早く朝ごはんを済ませることにした。

近所の店で買った「キューちゃんの味キムチ」なる漬け物で、にんにくが効いていてなかなかに美味かった。


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外に出てみると、空は灰色の雲に覆われていたが、風は穏やかで気温も昨日より暖かかった。

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昨日の足跡は、夜のうちに降った雪に掻き消されていた。その上に、改めて今日の足跡を付けてみる。

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ホームの上を歩いていると、駅の連絡放送が始まった。

今日は天候が安定しつつあるためどうにか釜石線が走ることが出来るものの、遠野以東では未だに除雪の目処が立っておらず、今日のところは花巻~遠野間での運転になるらしい。

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それだけならば何の問題も無いのだが、何故か普通列車は全て運休し、はまゆりだけの運転を行うとのことだった。

どうして普通列車を走らせられないのかはわからないが、つまりこの岩根橋駅には幾ら待っていても汽車はやって来ないため、再び歩いて隣の宮守駅まで戻るしかないということだ……。

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はまゆりが停まらない駅の近くに住んでいる人はいったいどうすれば良いのか、相変わらずJRの考えることはよくわからないが、兎に角今日はそういうことだ。

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宮守駅まではだいたい3kmくらいで、幸い峠を下るだけなのですぐに向かうことは出来ると思うが、こうなると岩根橋の見学に割ける時間はそう多くない。今日中に帰れなくなることがないよう、早速出発だ。

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ひと晩の安らぎを与えてくれた岩根橋駅に別れを告げ、釜石街道に踏み出す。

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道路には殆ど雪が積もっていない。大雪のピークは完全に越えたようだ。

だったらせめて花巻~遠野間はいつも通りのダイヤで運行してくれても良いような気がするのだが……。裏事情は察しかねるが、それ程までに昨日の雪は岩手の人にとっても未曾有のものだったということか。