遠野放浪記 2013.12.28.-01 またあの季節がやって来る | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

稔りの秋が過ぎ、大地の恵みが残らず刈り入れられると、やがて夜が長くなり、暗く寒い冬が来た。

思えば、社会人になってからいろいろなことがあり、およそ2年振りに遠野を訪れたのも、この時期だった。あれから季節はひと回りし、俺自身もその周囲も少しずつ変わって行ったが、その中で唯一遠野を愛しているという気持ちは微塵も揺らぐことは無かった。


今回は真冬だが、未踏の遠野遺産を目指して広範囲を走り回ろうと思っているので、秋に引き続きパティと一緒に遠野を訪れることにした。


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同じ始発前の時間帯でも、半年前に比べるとすっかり真っ暗に、そして厳しく冷え込むようになった。

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人々は眠り、街の明かりだけが寂しく瞬いて、俺を見送ってくれる。

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御徒町あたりまで来ると、車の流れは多くなり、眠らない人々が闊歩する。昼間であれば見慣れた光景だが、真っ暗な朝早くから眺めると、何だかエキゾチックな空気を感じる。

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さて、今日は上野駅に向かう前に、広小路の交差点にある日高屋で朝ごはんを食べて行くことにした。以前に貰った大盛り無料券が余っていたのだ。


今回は寒い季節の限定メニュー、モツ野菜ラーメンを発注してみた。辛味噌風味のスープに、100グラムものモツと野菜が乗っている、如何にも身体が暖まりそうなメニューだ。

ネットでモツ野菜ラーメンを食べた人の声を聞くと、結構評判は良いみたい。個人的には、モツがもう少し柔らかく煮込まれていると嬉しかったが。ワイルドなホルモンの匂いが愛好者には堪らないだろう。

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食事を終えると、始発までもうあまり時間が無くなっていた。

急いでパティのペダルを漕ぎ、上野駅の公園口へ。

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冬の青春18きっぷに手書きで印を貰い(改札に人がいなかったので車掌に頼んだ)、11時間半をかけて遠野を目指す長い旅が始まった。

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まず目指すのは宇都宮、そして黒磯。東北の冬が俺を待っている。