遠野放浪記 2013.09.16.-03 ピザと釜石線 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

汽車の中で、この天気では車窓の景色も望めそうにないので、俺は昨日のうちにおやつにと買っておいたピザ南部の袋を開けた。

異常な程たくさんの種類がある南部せんべいの中でも、たっぷりのチーズが俺のストライクゾーンを直撃するフレーバーなのだが……。


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最初からみっつに割れているw

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しかし味に変わりはない。濃厚なチーズとオニオンチップスの香ばしさは、まるで本物のピザを食べているかのように口いっぱいに広がる。ピザ●テトですらピザ南部には太刀打ち出来ないだろう……チーズ好きの読者諸氏は、岩手を訪れることがあったら是非ピザ南部を食べてみて欲しい。

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遠野を出発した汽車は、猿ヶ石川を渡って街に別れを告げる。

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やはり、窓の外は殆ど何も見えない。

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雨足はみるみる強くなり、山々に囲まれた長閑な里といういつもの風景は、最早皆無だ。

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此処まで重苦しく、荒れた空の下で遠野を発つことになるとは……。

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これから昼にかけて益々雨風が強くなるとしたら、収穫前の田畑が心配だ。焦ってこの荒天下で作業をし、思わぬ災害に巻き込まれる……といったことが無ければ良いのだが……。

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汽車は遠野盆地を離れ、出会いと別れの街・宮守に到着。

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宮守にも何度も足を運んで来たが、襲い掛かる雨風の前に、濡れ鼠のように震えている姿はとても悲し気に映った。

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靄の向こうに見えるあの夏の残り香は、夢か現か蜃気楼か……。

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雨は花巻に入ってから格段に酷くなり、三軒先の家が見えない程になっていた。

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汽車は辛うじて定刻通り花巻駅に到着したが、ドアを開けた瞬間に恐ろしい勢いの嵐が俺に向かって襲い掛かって来た。

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牙を剥いた自然の前に、文明の利器は最早意味を成さない。

無事に岩手から出られるかどうかも怪しくなって来た。