遠野放浪記 2013.09.16.-02 たったひとり | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

空の雲が手の届くようなところまで下がって来ている、始発前の遠野駅。

ホームにはまだ誰の姿も無い。


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止んでいた雨は再び活動を始め、駅のホームに水溜まりを作って行く。

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山の稜線は完全に雲に隠されてしまい、全く見えない。

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雨の中で遠野を出発したことは何度もあるが、こんなにも色を失ってしまった遠野駅は初めて見る。

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ちなみに釜石線は、雪には強いが雨風には滅法弱いと評判である。遠野以東ではかなり険しい山間も走るので仕方がないところではあるが……。

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このまま何も起こらなければ良いのだが。

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汽車の時間が近付いても、待合室からは誰も出て来ない。

やはり今日は汽車での移動に対して警戒心が強いのだろうか。いつもならば少なくとも十数人はホームに出て汽車を待つ光景が見られるのだが、今日は……。

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しかも意外なことに今は駅員の業務時間ではないため、駅員すら俺を見送ってくれない。

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結局誰もホームに出て来ることは無いまま、汽車は来てしまった――幸い、定刻通りに。

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いつも以上に(物理的に)寂しさを感じる出発だが、仕方ない。

今日の遠野に、出来る限り平穏な一日が過ぎることを願う……。