遠野放浪記 2013.07.13.-02 待夏 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

東北に差し掛かっても相変わらず天気は悪い。

しかし、辛うじて西の空には明かりが差し、彼の地に朝の光を齎そうとしている。


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東北には未だ、春と夏の狭間に訪れる雨の季節が続いているようだ。

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そのような旅路もまた、静かに沁みる。

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箱庭のようなあの小さな街にも、光の雨は降り注いでいる。

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目に映る全てが一度たりとも全く同じ景色だったことは無く、その日その時間にしか見られないものを俺はずっと見て来た。これが存外に幸せなことだと、人は気付くべきだ。

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列車は白河を越え、東北入り。先はまだまだ長い。

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そして俺は郡山駅で列車を乗り継ぎ、引き続き北を目指して行くのだが、郡山では非常に腹立たしいトラブルがあり、乗る筈だった列車に乗れず2時間近く予定が狂ってしまった。

何があったのかは此処で書いても仕方がないし、わざわざ人前で書くようなことでもないのだが、郡山駅で出会った客を客とも思わない最低の駅員と、一対一では何も出来ないくせに自分を守ってくれる存在がある状況下では途端に空威張りを始める最低の乗客のことを、俺は未だに許せない。もしも当事者たちがコレを読んでいるならば、即刻俺に謝罪すべきだ。


……とまあ、穏やかでない内容になってしまったが、ともかく俺の旅はおよそ2時間遅れで続いた。

郡山から先は順調で、すぐに福島が近付いて来た。

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いつもと時間帯が違うためか、車内はそれ程混み合わず、のんびり外を眺める余裕があった。

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やがて見える街は大きくなって来て、列車は福島駅に到着。

早いもので、さっき入ったと思ったばかりの福島県とも、もうお別れの時間が近付いている。