遠野放浪記 2013.05.26.-02 あの夏へ廻る道 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

綾織を出発した汽車は遠野盆地を横断し、遠野と宮守を隔てる峠へ向かう。


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一見、街と街の狭間に位置するだけの寂しい峠道にも、人々は根付き、昔から変わらない暮らしが展開されている。

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灰色の雲に覆われ、未だ目を覚まさない宮守の街を通過。

今回は街外れから花巻との間に聳える峠へと向かう道を眺めてみた。


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文明とは凄いもので、自分の脚では果てしない時間がかかる峠も汽車ならば数分で越えてしまう。

宮守を置き去りにし、汽車は花巻の田園地帯に突入。

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此処まで来ればもう険しい道は無く、遠野とはまた違う空気が漂う、平和な花巻を西に向かって行く。

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花巻と宮守の境界近くには、そういう土地特有の郷愁が満ちているように感じる。

あれ程愛し、撫でる様に時間をかけて歩いた遠野もあっという間に遥か後方である。

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花巻市の東端である東和を過ぎると、もう目的地は近い。

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田園は次第に姿を消し、大きな街が近付いて来るのが見える。

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花巻と様々な土地を結ぶ道路をくぐる……。

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程無くして、花巻駅の姿が車窓に飛び込んで来た。

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こうして、帰路最初の小さな旅が終わりを告げた。

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単線で気動車、おまけに最短1両の釜石線とは違い、東北本線はまさに日本を縦断する大動脈路線。その雰囲気は否が応にも変わってしまう。決して交わることは無い――いやよく考えたら、釜石線の普通列車でも盛岡まで走ったりしているので、そんなことも無かった。

意外に性格が違うからこそ仲良くやって行ける存在同士なのかも知れない。