遠野放浪記 2013.05.25.-11 ふたりでならば何処へでも | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

展望台まではまだ距離があるが、眼下には既に水鏡に覆われた綾織の街が見え始めていた。

1

木々に切り取られた絵画のような綾織の風景は、本当に美しい。
これが見たくて此処まで登って来たのだ。

2

もう少し先へ進むと、さらに見晴らしが良い場所に差し掛かる。

3

昨日まさに歩いていた風景を、今上から見下ろしていることに形容し難い喜びを感じる。

4

5

高清水展望台からは、綾織だけは死角に入ってしまって眺めることが出来ないのだが、逆にこの場所にいる限り俺が綾織の素晴らしい景色を独占出来ると考えると、なかなかのものである気がして来る。

6

ちなみに、展望台へ続く道と眼下の綾織との間には小さな牧草地帯が横たわっているのだが、運良く鉄の扉が開いていると、少しだけ中に入ることが出来る。

7

この牧草地帯はそのまま崖の下に続いて行くため、いざ踏み込むと意外と怖いのだが、綾織を特等席で一望出来ると思えば安いものだ。

8

9

視界を遮るものなど何もない場所から、美しい綾織を見下ろす。

10

初めての思い出の街をこんな形で拝める日が来るなんて、6年前は想像も出来なかった。
少しずつでも、知らなかった遠野を知ることが出来ている。

11

暫し時間が過ぎるのを忘れ、綾織の水鏡を独占する。
どれだけ眺めていても満足することなどないが、最後の目的地である展望台に向け、再び歩き始めなければならない。

12

綾織展望台(天然)から高清水展望台の小屋までは、もうすぐである。道の傾斜がほぼ平らから僅かに下りに変わったところで、思い出のあの屋根が見えて来た!

13

小屋の脇からは、既に広大な遠野盆地が見え始めている。しかし本当に一番美しい風景を楽しみたければ、やはり小屋に入るのが一番なので、此処で立ち止まりたいところをぐっと堪えて小屋の入り口へ。

14

15

こうして、麓からおよそ1時間40分程度で高清水展望台に到着。パティと初めて一緒に登って来たということが、俺の実力以上のタイムで登頂出来たことへの何よりの助けになった。

16

新しい相棒に、一度はこの風景を見せたかった。それが今日叶ったことが嬉しい。

17

白から青に変わった遠野盆地との御対面――。