遠野放浪記 2013.05.24.-03 続・小さな世界 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

黒磯駅を出発した列車は那珂川を渡り、関東の脱出を目指す。


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車窓からの風景は、宇都宮線のそれとは全く違う。此処からが本当の東北本線の始まりなのだ。

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それぞれの駅の周りには、それぞれの街があり、それぞれの生活がある。

此処にはどんな人たちが暮らしているのかな……それを想像しているだけでも、楽しい。

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このあたりの田圃は稲がもう植わっていたり、まだ植わっていなかったり。春の後を追いかけて、今度は夏が少しずつ北へと手を伸ばしている。

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列車はやがて黒川を渡り、栃木県から福島県へ。

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其処から先、列車は次第に人里を離れて山に入り、車窓には深い緑が流れては消えて行く。

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時折、暖かい日差しで照らされた、箱庭のような小さな世界を見送る。

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3週間前には疎らにしか水が入っていなかった福島の田圃は、今や一面水鏡と化していた。これが見たくて各駅停車の旅を続けているのだ。

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列車は福島県に入って最初の駅、白坂駅を通過。

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新白河駅では11分程停車し、新幹線から乗り換えて来る客を待つ。

そして関東と東北の分水嶺である白河へ。

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小峰城を見送ると、間もなく列車は川を渡る。

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此処まで関東、此処から東北。何度この風景を眺めても、5年前に初めて東北入りした瞬間の得も言われぬ興奮は些かも褪せることが無いのだ。