番外編 ちょーおもしろい姉帯探訪記08 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

侍村から馬渕川を渡って川久保という集落に入ると、目の前には傾斜10%という仙人峠並みの急坂が待ち構えていた。


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馬渕川とその畔に居を構える農家が、目と鼻の先なのに「下に」見える。

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まるで冗談みたいな坂だ……。

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坂を下った先は、春先の落ち着いた空気が流れていながらも、住んでいる人の数はかなり多そう。

これは下手すると宮守よりも栄えているんじゃ……。

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小さな崖の上には、神社があった。

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そういえば此処まで、神社らしい神社に出会っていなかった。たまたまそういうルートを通ってしまったからなのか、それとも遠野や宮守に比べ、元々神社が少ないのだろうか。

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御社の中はがらんとしていて、何が祀られているのかも定かではなかった。

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この場所にはどのような物語が隠されているのだろうか。

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遠野とは全く違う街と信仰の形を見た。

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これまで、東北といえば遠野が全てだった俺にとって、街も其処に流れる空気も全てが初めての体験だった。大きく冒険心を刺激され、しかし心の何処かで「俺はこの街に来るために今まで旅を続けてきたのかもしれない」という静かに満たされていく郷愁を感じていた。

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川久保集落をどんどん奥に入って行くが、姉帯城への道はよくわからない。おかしいな……。

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遠野以上に観光地化されていなく、そもそも積極的に姉帯城に人を呼ぼう!という感じでもないのかもしれない。俺も分かれ道の案内を発見するまでは、姉帯さんが城を持っているなんて知らなかったし……。

このままドツボに嵌ってしまわないか非常に心配だったが、やがて民家の裏手の山に続く細い道を発見し、どうにか城に辿り着けそうだとひと安心した。