遠野放浪記 2013.05.04.-09 知らない街 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

だいぶ重湍渓に長居をしてしまった。

まだ昼ごはんすら食べていない。此処から先は、取り敢えず一直線に街へ帰ろう。


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神遣峠まで引き返しても良いのだが、このまま猿ヶ石川沿いに進んでも下附馬牛に合流できるようなので、道なりに進んでみる。

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再び山の川の表情に戻った猿ヶ石川と並走。

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道はアップダウンが続くものの、神遣峠よりは遥かに楽。

人里離れた寂しい道だが、神遣峠とは雰囲気が全く違っている。

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途中所々に地図が出ているのが有り難い。感覚で先へ進んでいては確実に道に迷う。

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一見どんどん寂しい山奥に進んでいるように思えるが……。

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やがて突然視界が開け、民家が立ち並ぶ集落に出た。此処は俺が知らない場所だ。

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丁度畑に命が芽吹き始めた、美しい山里の風景。

此処は和野(わの)という集落のあたりのようだ。

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こんな街がまだ遠野にあっただなんて。

神遣峠に戻る選択をしないで、今回は幸運だった。

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知らない街の知らない道を初めて歩く興奮は、今この瞬間しか味わえない。

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曲がり角、家、信仰の形。目に入る全てが冒険心を掻き立てる。

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此処にはどのような昔話が残っているのか。

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やがて家の数が多くなってきて、何処かで見たような道に出くわした。

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確かに俺は此処を知っている。

初めて早池峰神社へ向かう前日の夕暮れ、気の向くままに附馬牛を彷徨ったときに通った道だ。

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最後は懐かしい場所に辿り着けたことで、心の底から安心する。

先が見えない刺激的な冒険心と、見知った土地に優しく包まれる安堵感、相反するふたつの感情に満たされたくて、俺は寄り道を続けるのかもしれない。

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此処まで戻って来れば、後は本当に真っ直ぐ街に帰るだけだ。

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間も無く遠野の日が暮れる。目の前に延びる一本の道は、暖かい場所への帰り道。

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しかしまだ昼ごはんにありついていないという現実は変わらないので、その前に何処かで腹を満たしたい。ふるさと村の食堂はもう店仕舞いしている筈だから、福泉寺のはやちね食堂あたり、営業していたら良いな……。