5月4日の早朝は、残念ながらしとしとと降る雨の中で迎えた。
手早く身支度を整え、朝ごはんを食べていく。
今日はいなばのツナとタイカレーレッドと、キョクヨーのさんま生姜焼き。
最近よく登場する¥100の缶詰はだいたいキョクヨーなのだが、どれも地味ながら安定感のあるクオリティで、外れが無い。読者諸氏も機会があれば、安くて美味いキョクヨーの缶詰を食べてみて欲しい。
さて、今日最初に足を運びたい場所は、ふるさと村から少し北上した場所にある、とある神社。
不思議と以前附馬牛を訪れた際には気付かなかったが、赤い鳥居が大通りからも見えている。
かなり年季が入っているような、古いくぐり拝殿が参拝者を迎える。
造りはかなりしっかりしているので、夜は此処で寝ても良かったかもしれないw
くぐり拝殿の裏手はすぐに急な階段になっており、その上に本殿が鎮座している。
かなり狭い境内にひっそりと佇んでいるこの神社、実は附馬牛の歴史を語るうえでは非常に重要な場所なのだ。
附馬牛の名前の由来は、この場所にあった槻木に馬と牛を繋いでおいたことから来ている。
「つき」に「馬と牛」を繋いだから「附馬牛」――という冗談のような由来だが、紛れもない真実である。
本殿のすぐ脇には、意味有り気な瘤を付けた古い木が立っている。
さらに奥まった場所には、かつて何かに使われていたのであろう謎のコンクリートブロックが、今はだいぶ苔生した状態で残っている。
遠野遺産にも選ばれておらず、そもそも進んでこの神社を訪れる人も殆どいない。
しかし此処は、附馬牛という遠野の果てが始まった、その全ての切っ掛けとなった場所である。
其処に建てられた小さな神社は、名前を地の神稲荷神社という。
遠野の中でも取り分け附馬牛に強く惹かれる俺にとって、この神社は必ず訪れなければならない場所だった。それが今、叶ったのだ。
雨は少しずつ強くなってきているが、この先も強い意志を持ってさらに北へ進もう。