下中斉の入り口には、白い鳥居の駒形神社がある。
神社の隣には、倉庫のような工場のような、プレハブの建物が。
まだ木々も葉を纏っていないこともあり、長い参道は少々寂しい風景。
境内には、下中斉の集会所があり、御社のひとつと渡り廊下で繋がっている。
集会場はそんなに古い建物ではないだろうが、神社自体は江戸時代末期からある。
社号が示す通り、地元民が馬や牛の安全を祈願したことが起源とされており、今でも絵馬の奉納が多いという。
その隣にあるのが、駒形神社本殿。
長い間集落を見守ってきた貫禄があり、不思議と本殿の前にいるだけで安心感がある。観光地化とは無縁の小さな集落の神社だが、この存在を肌で感じたいと、遠近問わず多くの参拝者を集めているようだ。
また、境内には石碑の数がとても多い。
御馴染みの卯子酉大明神を始め、大小様々な石碑が境内を囲むように安置されている。
ちなみに卯子酉というと、愛宕山の麓にある縁結びの神社が有名だが、あそこの本社は宮守の下鱒沢にある卯子酉神社らしい。知名度では圧倒的に分社の方が勝っているが、その原点の場所にも足を運んだことがあり、しかもそちらが大元だと知っている人は、俺以外にそう多くないだろう。
山神などの大きな石碑に混ざり、いつから此処にあるのかもわからない無銘の石碑が却って迫力を放っている。
境内の裏手には、山へ続く道が。
当て所無くこんな道に迷い込むのも面白いが、本気で帰って来られなくなりそうだ……。
決して大きくない神社ながら、見所がたくさんあって思いの外長く滞在した。
このあたりから道の傾斜も少しずつきつくなり、宮守の最奥・稲荷穴に近付いていることを実感する。