遠野放浪記 2013.05.02.-15 宮守の内と外 | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

俺は年末に引き続き、焼肉レストランみまつに行くことにした。


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みまつは宮守の街外れ――めがね橋の向こう側にある。

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やはりこの橋をくぐると、宮守の外に出て行ってしまうような気がして少し怖い。

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この道を通り慣れている地元民は、勿論そんな気持ちを抱くことも無いのだろうが……。


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めがね橋の向こう側は、道の駅のように大きな施設なども無く、何軒かの家や田圃があるくらいなので、夜闇が濃い。空気が変わってしまったような気がして、俺は少し身を震わせた。

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めがね橋の上を、また遠野に向かう汽車が通過していった……。

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汽車が行ってしまった後、再び街は闇と静寂に包まれる。

春の夜、まだ冷たい街外れの空気が好きだ。

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このめがね橋からも遠ざかると、道は街灯もぽつんぽつんと立っているだけで、ほぼ真っ暗になってしまう。

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実際に、この先は別の街に向かう寂しい峠道。街外れに向かって歩いているだけで、言い知れぬ感情が湧き上がってきて、胸がざわざわする。

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食事を終えたらまた俺が戻って来られるように、めがね橋は見守るような表情で其処に立ち尽くしていた。