核兵器国と、日本など核の傘に入るそのシンパが、非核兵器国の悲願「核兵器ない世界」の前に立ちはだかり、未だ核兵器禁止条約は発効出来ずにいる。
核兵器禁止条約 批准国は目標の半分 日本も署名せず課題山積

核拡散防止条約の公認核兵器国は、「誠実に核軍縮交渉を行う義務」を守らず、
大量破壊兵器所有を理由にイラクを攻め滅ぼし、北朝鮮やイランの核開発を責めるが、
何故そんな身勝手が許されるのだろうか?

核開発は悪?! 攻め滅ぼされたイラクと北朝鮮の差
【平和の番人?国連常任理事国以外の国の核開発は悪?!
米・露・英・仏・中だけが、公式に核兵器の保有を許されているが、
大量破壊自爆装置=原発と、大量破壊兵器=原爆のダブルスタンダード

 彼ら苛めっ子国家が牛耳る国際社会?が、不法に主権国家・イラクを攻め滅ぼした責任は、なぜ問われなかったのだろうか?
【イラク戦争10年】「大義なき戦争」仕掛けたアメリカ・国際社会の罪

核兵器国の「自分たちはいいけど他はダメ」という論理はずるい。

唯一の戦争被爆国・日本が、「核兵器禁止」の先頭に立たなければ、
既得権益に胡坐をかく核兵器国の横暴はつづき、「核兵器ない世界」は未来永劫訪れないだろう。

長崎原爆資料館 — Google Arts & Culture


長崎原爆の爪痕を残していた浦上天主堂。解体されて「幻の世界遺産」になった理由は?


なぜ?脅し文句に「ナガサキ」 米ドラマで使用 翻訳関係者「初めて聞いた」

首相「核兵器ない世界、令和も」 長崎平和祈念式典で

被爆74周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典


Nagasaki City - Peace & Atomic Bomb
令和元年 長崎平和宣言

目を閉じて聴いてください。



   幾千の人の手足がふきとび 
   腸わたが流れ出て
   人の体にうじ虫がわいた
   息ある者は肉親をさがしもとめて
   死がいを見つけ そして焼いた
   人間を焼く煙が立ちのぼり
   罪なき人の血が流れて浦上川を赤くそめた



   ケロイドだけを残してやっと戦争が終わった



   だけど……
   父も母も もういない
   兄も妹ももどってはこない



   人は忘れやすく弱いものだから
   あやまちをくり返す
   だけど……
   このことだけは忘れてはならない
   このことだけはくり返してはならない
   どんなことがあっても……

 

 これは、1945年8月9日午前11時2分、17歳の時に原子爆弾により家族を失い、自らも大けがを負った女性がつづった詩です。自分だけではなく、世界の誰にも、二度とこの経験をさせてはならない、という強い思いが、そこにはあります。
 原爆は「人の手」によってつくられ、「人の上」に落とされました。だからこそ「人の意志」によって、無くすことができます。そして、その意志が生まれる場所は、間違いなく、私たち一人ひとりの心の中です。
  今、核兵器を巡る世界情勢はとても危険な状況です。核兵器は役に立つと平然と公言する風潮が再びはびこり始め、アメリカは小型でより使いやすい核兵器の開発を打ち出しました。ロシアは、新型核兵器の開発と配備を表明しました。そのうえ、冷戦時代の軍拡競争を終わらせた中距離核戦力(INF)全廃条約は否定され、戦略核兵器を削減する条約(新START)の継続も危機に瀕しています。世界から核兵器をなくそうと積み重ねてきた人類の努力の成果が次々と壊され、核兵器が使われる危険性が高まっています。
 核兵器がもたらす生き地獄を「くり返してはならない」という被爆者の必死の思いが世界に届くことはないのでしょうか。
 そうではありません。国連にも、多くの国の政府や自治体にも、何よりも被爆者をはじめとする市民社会にも、同じ思いを持ち、声を上げている人たちは大勢います。                                                          
 そして、小さな声の集まりである市民社会の力は、これまでにも、世界を動かしてきました。1954年のビキニ環礁での水爆実験を機に世界中に広がった反核運動は、やがて核実験の禁止条約を生み出しました。一昨年の核兵器禁止条約の成立にも市民社会の力が大きな役割を果たしました。私たち一人ひとりの力は、微力ではあっても、決して無力ではないのです。
 世界の市民社会の皆さんに呼びかけます。
  戦争体験や被爆体験を語り継ぎましょう。戦争が何をもたらしたのかを知ることは、平和をつくる大切な第一歩です。  国を超えて人と人との間に信頼関係をつくり続けましょう。小さな信頼を積み重ねることは、国同士の不信感による戦争を防ぐ力にもなります。
 人の痛みがわかることの大切さを子どもたちに伝え続けましょう。それは子どもたちの心に平和の種を植えることになります。  
 平和のためにできることはたくさんあります。あきらめずに、そして無関心にならずに、地道に「平和の文化」を育て続けましょう。そして、核兵器はいらない、と声を上げましょう。それは、小さな私たち一人ひとりにできる大きな役割だと思います。



 すべての国のリーダーの皆さん。被爆地を訪れ、原子雲の下で何が起こったのかを見て、聴いて、感じてください。そして、核兵器がいかに非人道的な兵器なのか、心に焼き付けてください。
 核保有国のリーダーの皆さん。核不拡散条約(NPT)は、来年、成立からちょうど50年を迎えます。核兵器をなくすことを約束し、その義務を負ったこの条約の意味を、すべての核保有国はもう一度思い出すべきです。特にアメリカとロシアには、核超大国の責任として、核兵器を大幅に削減する具体的道筋を、世界に示すことを求めます。
 日本政府に訴えます。日本は今、核兵器禁止条約に背を向けています。唯一の戦争被爆国の責任として、一刻も早く核兵器禁止条約に署名、批准してください。そのためにも朝鮮半島非核化の動きを捉え、「核の傘」ではなく、「非核の傘」となる北東アジア非核兵器地帯の検討を始めてください。そして何よりも「戦争をしない」という決意を込めた日本国憲法の平和の理念の堅持と、それを世界に広げるリーダーシップを発揮することを求めます。



 被爆者の平均年齢は既に82歳を超えています。日本政府には、高齢化する被爆者のさらなる援護の充実と、今も被爆者と認定されていない被爆体験者の救済を求めます。
 長崎は、核の被害を体験したまちとして、原発事故から8年が経過した今も放射能汚染の影響で苦しんでいる福島の皆さんを変わらず応援していきます。
 原子爆弾で亡くなられた方々に心から哀悼の意を捧げ、長崎は広島とともに、そして平和を築く力になりたいと思うすべての人たちと力を合わせて、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に力を尽くし続けることをここに宣言します。 



2019年(令和元年)8月9日                       

長崎市長  田 上  富 久