なぜ?洪水を防ぐ筈のダムが、肱川を氾濫させ、5人の命を奪ったのか?

なぜ?規定の10倍もの放流を行ったのか?

なぜ?緊急放流の情報が住民に届かなかったのか?

なぜ?国は、放流も警報も適切だった?と、責任逃れするのか?

放流も警報も適切で、洪水が起こり人が亡くなったのなら、その規定が適切でなかったからでは?

なぜ?豪雨に備え、事前に貯水量を減らさなかったのか?

そもそも、鹿野川ダム、野村ダムは、本当に洪水防止に役立っているのか?

想定外の豪雨で・・肱川決壊は人災!?鹿野川ダム・野村ダムが洪水被害を拡大
住民「50年要らなかったダム」 県「急いで造らなくちゃいけない」・・石木ダム計画の問い
人災というより犯罪! 西日本豪雨 ダム緊急放流 規定に反し 流入量より多く放流か

 愛媛新聞より
住民会合で弁護士が指摘 野村ダム放流5人犠牲「周知不十分 訴訟可能」
【西日本豪雨で7月7日、野村ダム(西予市)の異常洪水時防災操作の後に肱川(宇和川)が氾濫し5人が死亡したことを受け、被災した住民らでつくる「野村ダム放流を検証する住民の会」は27日、同市野村町野村の野村公民館で会合を開いた。大洲市の奥島直道弁護士(愛媛弁護士会)が講演で「ダム管理所は住民への危険の周知が不十分だった。法的には訴訟が可能だ」と訴え、住民約90人が聴き入った。

会合の冒頭、住民らは西日本豪雨の犠牲者に黙とう。登壇した奥島弁護士は、貯水を停止して流入量とほぼ同量を放流する異常洪水時防災操作を行った国土交通省野村ダム管理所に対し「関係機関に通知するだけでなく、住民への周知を義務付けられている。『ここまで浸水する』と言わなければ周知とはいえない」と批判した。

 住民からの「国交省などに損害賠償を求めることはできるか」という質問には、「犠牲となった人命については、危険の周知が十分でないので過失と言えそうだ」と回答した。

 国交省の10分ごとのダム操作データを示して「流入量より放流量の方が少ないのに、ダムの貯水量が減っている時間帯がある」などと疑問を呈したほか、異常洪水時防災操作の前にダム管理所はもっと水位を下げて、貯水容量を空けておくべきだったとした。

 同会は疑問点を整理した上で、国交省に説明会の開催を再度求め、追及していく方針を決めた。】一部抜粋

 NHK生活ブログより
ダム放流"知らなかった" 肱川氾濫の真相は
【愛媛県を流れる肱川。7月7日、西日本豪雨で氾濫、逃げ遅れや土砂崩れなどで流域の住民9人が犠牲になり、3400棟を超える住宅が浸水しました。川の上流にある2つのダムでは、貯水量がいっぱいになり、流れ込んできた水をそのまま放流する緊急の措置がとられ、過去にない量の水が放流されました。しかし、急激な増水を引き起こした“ダム放流”の情報は、住民に十分に伝わっていませんでした。

<ダムの放流 急激な増水>
7月7日の早朝、肱川の流域で何が起きていたのか。ネットに、生々しい声が残されていました。

「肱川氾濫 野村やばい 生まれてはじめてめちゃめちゃ怖い どうか誰も怪我しませんように」

「やばいよ 肱川氾濫したら大洲終わるよ どうしようもないじゃんもう」

「肱川氾濫したらうちらんとこ孤立するんじゃね?」

「川が溢れ水没しています」

いずれも7日の午前7時から8時ごろにかけてのツイッターの投稿です。

このころ、上流の野村ダムと鹿野川ダムでは、相次いで貯水量がいっぱいになり、流れ込んできた水をそのまま放流する緊急の措置(異常洪水時防災操作)がとられていました。

(野村ダム:午前6時20分 鹿野川ダム:午前7時35分)

下流の肱川は、急激に増水して氾濫、流域の大洲市と西予市では、逃げ遅れや土砂崩れなどで9人が犠牲になり、3400棟を超える住宅に浸水の被害が出ました。



<ダム放流「知らなかった」の声相次ぐ>

ダム放流の情報は、住民に適切に伝わっていたのか。「知らなかった」と言う住民の声が相次いでいます。

鹿野川ダムの1キロほど下流、大洲市肱川町の下鹿野川地区に住む和氣武士さん(77)と仁恵さん(73)の夫婦。午前8時半ごろ、2人がいた自宅の1階に水が一気に入り込んで来ました。

「水が入ってくるまで何もわからなかった。放流を知らせるサイレンは鳴っていなかったと思うし、鳴っていたとしても気づかなかった」(武士さん)

自宅は1階部分がほぼ水没。武士さんは、2階から裏山に、間一髪、難を逃れたということです。武士さんは、「もっと早く知っていれば、避難することもできた」と話します。

同じ地区に住む橋本福矩さん(77)が危険な状況に気づいたのは午前8時すぎ。ダム放流の緊急措置からすでに30分以上たっていました。

「避難した方がいい」、知人から電話を受け、外を見ると、氾濫した川から水が自宅に向かって津波のように押し寄せてきていたため、あわてて2階に逃げました。

「電話をもらっても『うそだろ』と思いました。近所の人でダムを放流するということを聞いた人は誰1人いないと思う。今回は天災ではなく人災だと思っている」


<消防団員は泳いで逃げた>
救出活動に当たる消防団員にも、ダムの放流の情報は届いていませんでした。

「これだけの雨が降っていたので放流はあるだろうという認識ではいましたが、ここまでの量の放流をするとは思わなかったし、アナウンスはなかったと思います」

午前6時半に「詰め所」に集合した団員たち。住民に避難を呼びかけたり、土のうを積んだりする作業をしていました。

「あとで振り返れば、土のうでは防ぎようがなかったレベルでした」

当初はそれほどの危機感はなかったといいます。ところが、各地を回ってみると想像を超えた状況を目の当たりにすることになります。その様子が、写真とともにLINEのやり取りに、残っています。

「あと1mくらいで冠水位」
「土砂崩れ!」
「どっこも無理!」
「退避」


<なぜ聞こえなかったか ダム管理者の周知は>

なぜ、ダムの放流を知らせる警報の音声やサイレンは聞こえなかったのか。

ダムの管理事務所は、決められた手順で行ったとしています。鹿野川ダムでは、7日の朝の放流警報は2回。

1回目は午前5時半。

「ダムは現在、毎秒約600トンを放流中ですが、さらに放流量を増やします。川の水が増えますので、厳重に警戒してください」

このときは、アナウンスのみ。放流量の増加の程度が規定を超えず、サイレンは鳴らしていません。

2回目は午前6時18分。

「ダムの流入量は今後も一層増加することが予想されるため、異常洪水時の操作に移行する予定です。川の水が急激に増えますので、厳重に警戒してください」

このときは放流量の増加の程度が規定を超えたためサイレンも鳴らされました。

管理事務所は、同じ内容をアナウンスする警報車を、鹿野川ダムの流域で2台走らせたとしています。

それでも、聞こえなかったことについて、管理事務所は「かなり強い雨が降っていたからではないか」と説明しています。

地区から最も近い場所で、サイレンが鳴らされたスピーカ-は、鹿野川ダムの事務所に設置されているもので、地区の中心部からおよそ600メートルあり、サイレンの音が確実に届くと想定されているぎりぎりの範囲でした。

ダムの放流の音や激しい雨の音で、警報放送はおろか、比較的遠くまで届くはずのサイレンの音さえも届いていなかった可能性があります。


<“毎秒6000トン放流の見込み”情報生かせず>

ダム放流の情報を受け取った自治体も、その情報を直接住民に、伝えていなかったこともわかりました。

鹿野川ダムで放流の緊急措置が始まった7日の午前7時35分。実は、その2時間以上前から、大洲市にはダムの管理事務所からのホットラインでダムの放流情報が逐一伝えられていました。

午前5時10分。最初のホットラインが入ります。

ダム「洪水調節中。最大で毎秒1800トンの流入が予測され、放流を850トンまで増量予定」

この段階で市は、放流量の増加で川の水位にどの程度影響が出るのか調べるよう、担当課に指示を出したといいます。

次のホットラインは午前6時20分。
ダム「過去最大の放流量になる見込み」

しかし、市はこの時点でも住民に放流の情報を伝えることはありませんでした。

そして、その30分後の午前6時50分。最後のホットラインが入ります。

ダム「鹿野川ダムで6000トンの放流見込み。現在、通行可能となっている道路も、追って冠水が想定される」

鹿野川ダムでは、安全だとする放流の基準は毎秒600トン。その10倍の放流を見込むとする、かつてない異常を知らせる連絡でした。



このときの市長の答えです。

市「尋常ではないのですね。とにかく普通でないことはよくわかった」

大洲市は、肱川の水位の情報をもとに、午前7時半に避難指示を出しましたが、最後まで、ダムの放流情報を住民に直接伝えることはありませんでした。

市は「ダム放流の具体的な数字を伝えることで混乱を招くことを懸念した。今後、ダムの放流情報についても住民に周知することを含め、検討していきたい」としています。

<ダムの放流情報 住民への周知義務は>

愛媛県によりますと、ダムの放流に関する情報について河川流域の住民に周知・伝達する義務は、国や県などダムの管理者にあるとしています。

ダムの管理者は、法律によって定められた規則によって、流域の自治体や警察、消防などの関係機関にダムの放流に関する情報を周知することになっていますが、各自治体がこうした情報を防災行政無線などを通じて住民に直接、周知するかどうかは、それぞれの自治体の判断に任されていると言うことです。

ダム放流に関しての自治体による住民への情報周知の在り方について、徳島大学環境防災研究センターの中野晋教授は、「住民に対して直接避難を呼びかける立場の自治体が、ダムの放流量と被害想定の関係性をどの程度理解していたのか今後、検証し、住民への情報周知の在り方を考えていくことが重要だ」と話しています。

<始まった検証会議>

今回、ダムが、大量の水の放流についてスピーカーから流した放送。「異常洪水時の操作に移行します」と言う言葉を使って、伝えていました。

“異常洪水時の操作”とは、ダムに入ってきた水をそのまま下流に流す操作のことで、このあと、鹿野川ダムでは午前8時43分に、安全だとする基準の6倍にあたる毎秒3700トンが放流されました。

一般の人にとって耳慣れない、この言葉の意味と重大性をどれだけの住民が理解していたのか。実際に、警報放送を聞いていたにもかかわらず、重く受け止められず、避難の判断が遅れてしまったケースも耳にしました。

委員の一人、愛媛大学の森脇亮教授は「住民が早めに避難の判断ができるよう、より住民が危機を察知できる呼びかけの方法を検討することが必要だ」と話しています。
命に関わる情報をどう伝えるのか。その方法を根本的に見直す必要がありそうです。】一部抜粋