日本を代表する経済紙・日本経済新聞は『原発と電力自由化が両立するには 』と題する社説で、
自由化と原発は相反する
原発は建設から廃炉、使用済み燃料の再処理に至る費用を国民全体で負担することを前提に成り立ってきた」と原発コスト最安のカラクリカミングアウト

 電力自由化で、原発を持つ旧電力は 廃炉費用という裏コストを賄えず、
このままなら債務超過、倒産の危機。
※ 電力自由化、コスト面で原発は不利な立場に!? 10年前の新聞記事より

政府・原子力ムラは、巨額の裏コストを除外した、
原発がコスト最安?という真っ赤な嘘をつき続けられなくなり、
電力自由化を有名無実化する【原発支援策】を検討。
※ 電力自由化とは名ばかり。新電力に重いハンデ=託送料に原発の廃炉費用まで上乗せ

この上は〝原発コスト最安〟という真っ赤な嘘が前提の再稼動は中止、
稼働中の川内・伊方も即刻停止すべきなのだが・・
※ 低廉というウソを前提にした 川内原発再稼動は許されるか?

そして全国民に謝罪し、原発全廃と引き換えに、廃炉費用と核のごみ処理保管費用という天文学的巨額の〝負の遺産〟の負担を、頭を下げ懇願すべきだろう。


今現在も、知らぬ間に「使用済み燃料の再処理費用の一部は、新規事業者も使う送電線の利用料に上乗せし、すべての消費者が負担」させられているのだが・・

勿論、原発事故の収束・賠償費用も、東電を法的整理しても不足する分は、最終的に国費で賄うしかない

なぜ政府・原子力ムラは、国民を騙し超高リスク・高コスト原発を欲しがったのか?

準国産エネルギーが欲しかったとの理由は後付け、本当は原爆の原料プルトニウムが欲しかっただけなのだが・・

※ 日本初の原発=東海発電所:発電は従、プルトニウム生産が主目的だった!?
大量破壊自爆装置=原発と、大量破壊兵器=原爆のダブルスタンダード

 日本経済新聞・社説
原発と電力自由化が両立するには
【電力小売りの全面自由化が始まって半年が過ぎた。来春にはガス小売りも自由化される。電力・ガス市場は急速に姿を変えつつある。一方、政府は新しい規制基準の下で原子力発電所を当面、基幹電源として使う方針を決めた。

 いずれもこれからのエネルギー政策の柱だが、両立は簡単ではない。
自由化と原発は相反する側面を持つからだ。電力自由化を進めながら、競争環境下で原発をどう維持していくのか。国はその道筋を示すときだ。

廃炉の費用どう確保

原発は建設から廃炉、使用済み燃料の再処理に至る費用を国民全体で負担することを前提に成り立ってきたシステムだ

 だが、自由化に伴って地域独占は撤廃された。政府は自由化が定着したと判断すれば、総括原価方式も撤廃することを決めている。競争にさらされる電力会社の収益は不透明さが増す。

大型炉1基の廃炉には約560億~約830億円が必要だ。電力会社はこの費用を電気料金に上乗せして消費者から集め、積み立てている。全国にある40基あまりの原発をすべて廃炉にするには、15年度末時点で1兆2千億円足りない。

役目を終えた古い原発を廃炉にするための備えを怠ってはならない。不足する積立金を確実に集める方法を考える必要がある。

 使用済み燃料の再処理費用の一部は、新規事業者も使う送電線の利用料に上乗せし、すべての消費者が負担している。廃炉費用については現在、新規事業者から電気を買う消費者は払っていない。すべての消費者で分担する仕組みを考えるべきではないか。

この問題は本来、自由化の制度設計の段階で対処しておくべきだった。再処理費用と同じように、送電線の利用料に廃炉費用を乗せるには、国民の十分な理解を得ることが不可欠だ。新規事業者にも負担を求めるなら、原発でつくる電気を卸電力市場を通じて、誰でも販売用に調達できるようにするなどの方策を考えるべきだろう。

福島事故の処理完遂を

 廃炉や賠償に追加で必要となる巨額の資金を、誰が、どう負担するのか。これを議論する経産省の別の委員会も始まる。何より重要なのは廃炉の完遂と福島の復興だ。資金面の理由で作業が滞るようなことがあってはならない。

 まず、事故を起こした東電HDの負担が原則だ。費用を確保するためにも、東電HDは収益力を高めることが求められる。これまで以上に踏み込んだ経営改革が不可避だ。一時的にまとまった資金が必要になる場合は、国が立て替えるなどの支援も必要だろう。

 ただし、東電HDは16年3月期に、国の立て替え分として700億円を返済した。仮に追加で必要となる廃炉や賠償費用の総額が5兆円なら、東電HDが返済を終えるまでに70年かかる。8兆円なら100年以上、返し続ける。50年先、100年先まで企業が存続することを前提とする事故処理の枠組みはどこまで現実的だろうか。】一部抜粋

 高知新聞・社説
【原発支援策】国民負担は筋が通らない
【 福島第1原発事故が原点といえる電力システムの改革でさえ、原発復権に利用しようとする姿勢には驚くほかない。

 経済産業省が、有識者による「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」で、原発優遇策を具体化する議論を始めた。新規参入した新電力にも廃炉費用を求める案が検討され、電気料金を通じて国民が負担を強いられる可能性がある。

 原発の優遇は、電力自由化の競争環境をゆがめるばかりではない。もっと根本的な疑問を利用者に突き付けている。
 事故から約5年半を経た今も「脱原発依存」の世論は根強く、再稼働への反発も大きい。その状況下で、国民の負担による原発優遇など理解を得られようか。政府に明確な説明を求める。

 経産省は昨年3月、通常の原発の廃炉費用を新電力にも負担させる方針を示した。送電網の使用料として新電力が大手電力に支払う「託送料」に上乗せする仕組みで、有識者委は制度設計を担う格好だ。
 電力改革の政策検討をうたいながら、実際には「廃炉」を盾にした原発支援策にほかなるまい。

 大手電力は現状、「ベースロード」と呼ばれる安価な電気は日本卸電力取引所を通さず、自社で販売する。取引所経由の国内供給は全体の約2%にすぎない。
 このため、大手電力に原発などによる電気の供給を義務付ける新市場を検討する。再稼働の後押しを狙っているのは間違いあるまい。

 安い電力を調達しやすくして新電力の競争力を高めるとしつつ、新電力により多く廃炉費用を負担させる思惑もあろう。
 見過ごせないのは通常の廃炉に加え、福島第1原発の廃炉費用にも新電力からの託送料を充てる案が有力視されている状況だ。具体化されるなら、政府は福島事故のツケを今以上に国民に支払わせる腹づもりだとみざるを得ない。

 経産省が施した原発優遇への仕掛けは細かい。温室効果ガスの排出抑制につながるとして、再生可能エネルギーのほか原発の電気にも「環境価値」を設定し、売買する市場を創設するという。
 温室ガスの抑制効果は否定しないが、事故で広範囲に重大な汚染をもたらした原発に「環境価値」とは耳を疑う。経産省のなりふり構わぬ姿勢はかえって、原発回帰への違和感を膨らませる。

 原発事業は本来、通常の廃炉やトラブルのリスクを含めて、事業者が自己責任の範囲で行う営利活動である。むろん、環境の変化で市場性が失われた場合も例外ではない。優遇策を抜きに成り立たない事業なら退場すべきだろう。

 ましてや、福島事故の対策費を払い続ける国民に、さらなる廃炉支援や原発優遇のコスト負担を求めるなど筋違いも甚だしい。政府や同様の支援を求めた自民党は、世論との乖離(かいり)を自覚する必要がある。】