本番?では、荒天だ台風だと 言い訳は通じない。

福島第一原発は、地震が起き電源喪失、津波に襲われメルトダウン、
放射能が周辺住民の頭上に降り注がれた。

 台風でも津波でも、住民を避難させるフェリーが接岸できないのは同じ。

「訓練はまだ放射能が漏れていない段階を想定している」? 
そんな「絵に描いた餅」の訓練に何の意味があるのか? ただのアリバイつくりでは?

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 テレ朝ニュースより
原発真横に避難経路…住民「真剣に考えているのか」
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【 災害時にどう避難するのか。先日、原発事故を想定した避難訓練が悪天候のなか行われ、新たな問題が浮き彫りになりました。

 避難訓練の参加者:「風で自衛隊のヘリコプターが中止。この程度で来られないのかなって」
 先月27日に高浜原発のある福井県などは、地震で原発事故が発生した想定で避難訓練を行いました。

原発から5キロ圏内にあり、約140人が生活する音海地区。半島の根元に原発があり、要支援者の避難にヘリコプターが想定されていましたが、急きょ中止に。合わせてヘリコプター2機とすべての船が使えませんでした。福井県に理由を聞くと。

 福井県:「曇って視界が悪く、波も高かった」
 避難計画には、悪天候への対応は「あらゆる輸送手段を使用する」とあるだけで、具体的には書いてありません。県は代わりに救急車を手配しました。ところが、陸路を使うと原発に向かって避難することになるのです。

 避難訓練の参加者:「重大事故になったら、(高い)放射線量に向かっていくようなものだ」
 半島を出る道は一本で、陸路で避難した全員が原発のすぐ横を通りました。
 避難訓練の参加者:「原子力発電所を横目で見て避難というのは。放射能はよけて通るにも通れないから」

 県や内閣府は、訓練はまだ放射能が漏れていない段階を想定していると説明しています。しかし、別の住民からは。
 ある音海地区の住民:「避難経路が原発の横を通ること自体が異常。真剣にこの地区のことを考えているならそういうことはしない」
 熊本地震では家屋が壊れ、道路が陥没。屋内退避もできず、道路も使えない状況になりました。専門家は避難計画の想定が甘いと指摘します。

 災害・避難に詳しい東京女子大、広瀬弘忠名誉教授:「地震が起き、火災が起きて、放射性物質が飛び交うなかでヘリコプターが動かなければ災害弱者は救援できない。原発を動かすなら、そういう状況を想定したうえで避難できる保証がないといけない」】一部抜粋

 毎日新聞より
伊方原発・避難訓練 乗船訓練中止に 参加は対象の1割弱 /愛媛
【伊方町で4日行われた伊方原発の避難訓練では、佐田岬半島で原発より先端側にある25地区の住民約400人が自家用車やバスを乗り継ぎ、重大事故の際の避難経路を確かめた。だが、訓練に参加したのは対象28地区の全住民約4700人の1割未満。予定された船舶への乗船訓練が台風の接近で中止となったことと合わせ、参加者からは避難計画の実効性を疑問視する声が上がった。

訓練は(1)伊方原発が大地震で損壊し、放射性物質が外部に漏れ出す恐れのある全面緊急事態に(2)半島の基幹道路・国道197号が寸断され、原発以西の住民は陸路避難が不可能に(3)このため住民らは三崎港から船舶で避難する−−との想定。】

東京新聞・社説
原発避難計画 「絵に描いた餅」ならば
【絵に描いた餅」。原発事故の広域防災訓練の参加者が、漏らした言葉。でも皆さん、そもそも疑問に思いませんか。こんな訓練が必要な原発と、私たちは、ともに暮らしていけるでしょうか。
 原発から半径三十キロ圏内の広域避難計画の策定は、3・11の教訓を踏まえ、原子力規制委員会から自治体に義務付けられた。
 避難の実効性には、かねて疑問があった。全国に先駆けて再稼働した九州電力川内原発では、三十キロ圏内の住民全員が避難を終えるまで、最長で四十三時間かかると警鐘を鳴らしていた。
 先月再稼働したばかりの四国電力伊方原発では、陸路で避難する場合、事故を起こした原発の直前を通る以外に、文字通り道がない人たちが大勢いる。
 先月末、関西電力高浜原発の事故を想定し、福井、京都、滋賀三府県の広域防災訓練が展開された。福井から兵庫まで最大百三十キロの避難行。浮かび上がった懸念材料は数え上げたらきりがない。
 本番さながらとは言いながら、原発に近い高齢者施設でも、手順を確認しただけだ。訓練への参加も困難な認知症のお年寄りたちを、事故の混乱の中でどうやって、無事に、遠方まで避難させることができるのか。
 訓練の結果から、修正可能なことはもちろんある。
 しかしたとえば、主要な避難路が津波で水没したり、地震で崩落したらどうなるか。3・11や熊本地震で実際起きた複合災害対策は、そう簡単にはなし得ない。
 事実、船による“避難”は「悪天候」で中止になった。
 そもそも原発は、人口密集地から隔てられ、交通の便が良くないところに建てられてきた。避難を考慮に入れた立地には、なっていないということだ。
 国策と言いながら、国は避難計画の策定を“支援”するだけだ。規制委は、計画を作れと言いながら、なぜか、その内容や効果を審査する立場にはないと言う。
 住民の安全を物差しにして、避難計画の実効性をきちんと審査したならば、恐らくどの原発も、おいそれとは動かせまい。
 天災は避けられない。だから備えを怠れない。だが、原発事故は避けられる。
 訓練を重ねて身に染みるのは、原発のリスクの大きさだ。そして「原発に頼らない社会」づくりを進めていけば、「絵に描いた餅」と言われる机上の避難計画も、確実にいらなくなるということだ。】