米GEのCEOさえ「いまの原子力は『国家事業』だ。つまり商業的には成り立たない」と言っている。

 地震国トルコで、もし日本製原発が大事故を起こしたなら・・
当事国だけでなく、周辺国からも、福島原発事故などと比較にならないほど巨額の賠償金を請求されるだろう。

 その時安倍政権は、三菱重工の追うべき巨額賠償を、国民の血税で肩代わりするつもりなのだろうか?

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 日本経済新聞より
トルコへ原発輸出、三菱重に影落とす巨額賠償問題
【 トルコへの原発輸出が注目を集めている。三菱重工業などが参加する国際コンソーシアムが10月30日、トルコ政府と原発建設のフィージビリティースタディー(FS=事業化可能性調査)の枠組みについて正式合意に達した。5月と10月、半年間で2回も同国を訪問してプロジェクトを後押しした安倍晋三首相はレジェプ・タイープ・エルドアン首相との会談で「大変喜ばしい」と笑顔で握手を交わした。

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 まず、トルコは日本と同様に地震多発国である。過去半世紀に1000人以上の死者が出た大地震が7回発生。このうち1999年8月にイスタンブールを含む北西部で発生したマグニチュード7.6の地震では約1万7000人が死亡した。この北西部地震からほぼ1年後の2000年7月、当時のエジェビット首相は地震専門家らの反対を受け、1997年から進めていたアックユ原発の計画を白紙撤回している。また、2011年3月11日の東日本大震災とそれに伴う福島第1原発事故の直後にはギリシャのパパンドレウ首相(当時)がエルドアン首相に電話をかけ、トルコの原発計画を中止するよう要請したこともあった。

 ただ、盛り上がる政府側とは裏腹に「今後ファイナンスの枠組みや電力販売契約などについて交渉を詰めていく」と三菱重工が同日公表したコメントは慎重。今後FSに2年程度時間をかけ、採算性などに問題がなければ正式に契約を結ぶという。確かに「受注確実」と手放しで浮かれられない事情が同社にはある。米国での補修トラブルをめぐる巨額賠償問題で浮き彫りになった「原発輸出リスク」である。

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 原発メーカーのリスク管理に大きな影を落としているのが、三菱重工が遭遇している米国での巨額賠償問題だ。同社は09~10年に米カリフォルニア州にあるサンオノフレ原発に交換用の蒸気発生器を納入したが、その配管が摩耗し12年1月に放射性物質を含む微量の水が漏れ、稼働を停止するトラブルがあった。

 三菱重工のみならず、原発メーカーにとって衝撃だったのは、契約で定めた賠償の上限を超えた金額を請求されたことだろう。

 この件では米原子力規制委員会(NRC)も今年9月、三菱重工が細管の摩耗を予測するシミュレーションで使用した「コンピューターモデルが不適切だったことが、蒸気発生器の設計の欠陥につながった」と文書で指摘している。海外の原発プロジェクトでいったんトラブルや事故を起こせば、国民の関心が強いだけに、官民そろって責任追及に動くという現実を原発メーカーは見せつけられた。

■「原子力事業、商業的には成り立たない」

 運営者がトラブルや事故を起こした原発のメーカーに寛大な対応をすることは考えにくい。国民感情を考慮するなら、メーカーが外国企業の場合は特にそうだろう。サンオノフレのケースでいえば、運営者は巨額の賠償請求を突きつけたSCEであり、監督当局のNRCも同調している。三菱重工の責任追及には地元カリフォルニア州選出の上院議員も暗躍した。

 原発ビジネスはセールスからリスク管理に至るまで政治の関与がますます不可欠になりつつある。

 「いまの原子力は『国家事業』だ。つまり商業的には成り立たない」(10月10日付日本経済新聞朝刊「真相深層」)

 米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフ・イメルト会長兼最高経営責任者(CEO)のこの指摘は確かに的を射ている。日本政府や原発メーカーの経営者はどう解釈するだろうか。】