平成31年3月21日
本日は午後から予定が空いたのでゲーム会です。年度末ということもあり他のメンバーがなかなかつかまらず、ちいと2人でのゲーム会となったのでウォーゲーム中心です。
☆桶狭間合戦(ウォーゲーム日本史第25号)
○概要
作者:じんぼただとし
対象年齢:- -
対象人数:2人
標準時間:60-90分程度
タイトルのとおり上洛を目指し大軍を率いて尾張へ侵攻して来る今川義元と、奇襲をもって対抗する織田信長による桶狭間の戦いをテーマにしたウォーゲームです。
①ラウンドの開始時に手札を補充します。この時強制イベントが出ればそれを処理します。
②今川軍から手番を行い、その後織田軍が手番を行います。
③手番には必ずカードを1枚プレイし、「移動」もしくは「イベント」として使用します。
④移動は5ユニットまでをグループとして編成でき、地形などにもよりますが通常2エリアまで移動できます。
⑤両軍の手番が終わり、その時点で両方のユニットが存在するエリアでは戦闘が発生します。戦闘はユニットの戦闘力に応じてダイスで損害を与え合います。
⑥戦闘はどちらかの全滅か、撤退をもって終了となります。撤退した場合は1戦闘ターン分の追撃を受ける必要があります。
⑦今川軍の各城の周囲が織田軍によって包囲されており、今川義元が士気ラインを超えていない間は毎ラウンド城の士気が低下します。
⑧各城の士気がゲーム開始時に引かれる士気カードに記載された数値以下になれば落城となります。士気カードはいずれかの城の士気が一定値以下になると今川側が確認できるようになります。
⑨織田信長の撃破か今川義元が大高城に到達し沓掛城に連絡線が引ければ今川軍の勝利となります。反対に今川義元の撃破により織田軍の勝利となります。どちらの勝利条件も満たせずゲームが終了(カードが尽きる)した場合は、城の落城やユニットの撃破などから得点を計算し、より高い方の勝利となります。
○プレイ経過
管理人が織田軍、ちいが今川軍でゲーム開始時の様子です。ゲーム開始時は一部の今川ユニットと、今川軍の各城を包囲する織田軍しかマップ上には配置されていません。織田軍の本隊はマップ左上から、今川軍の本隊はマップ右から登場しきます。ちなみに、両軍とも新たに登場するユニットは戦闘になるまで伏せられた状態ですが、織田軍はユニットを確認しプレイヤーが選択できる反面、今川軍は今川義元(このユニットと織田信長は裏面からでも所在が分かるようになっている)以外は戦闘まで担当プレイヤーも分からない状態で運用します。
ユニットの質としては概ね今川軍が強く(戦力3のユニットは織田軍にはいない)なっていますが、織田軍は信長の能力「同スタック内のユニットは戦力+1」で補正することが出来ます。ただ、この信長の能力がエラッタ(ルールブックにはなかった)だったので、この時は知らずに適用していませんでした。そのため、戦力1、討たれたら敗北という信長は最後尾で今回はほぼ活躍がなかったりします。
第1ラウンド。今川軍は大高城に松平(後の徳川)軍をイベントで入城させます。徳川軍は今川軍のユニットのひとつですが、やや特殊な立ち位置でイベント効果でしか行動できなくなっています。
序盤から織田軍は3つのスタックに別れ全軍を出撃。今川軍も士気の低下を食い止めるため義元が出陣しています。ちなみに、大高城から松平軍が移動し周囲の砦を破壊していますが、イベントは沓掛城から連絡線が引けなければ適用できないためこれはルールミスです(気づかずにゲーム終了までプレイしていましたが)。
前進を始めた今川軍に対し、たまたま「雷雨(強制イベントで、織田軍の活性化とラウンド中今川軍ユニットの戦力低下)」となったこともあり、先手をとって攻撃を仕掛けます。ただ、今川義元以外のユニットが弱かったということもあってちいが早々に退却をしたためしとめきれず後方逃がします。
反対に沓掛城から出陣してきた今川軍の反撃を受け、戦力3を3体含む強力なスタックの前に撤退する余力もなく全滅となります。しかしながら、少し作戦を考えもうひとつのグループを前進。
今川軍は迎撃に動きますが、そこを「突破(敵ユニットを無視して移動)」によりすり抜け、再度今川義元を狙います。
前回の攻撃で3ユニットに減っていた今川義元のスタックへの攻撃でしたが、僅か1ヒット足りずに再び逃してしまいます。こうなると再び沓掛城から出撃してきたユニットの反撃で、このグループも損害を受け後退。これで今川義元を撃破するという目はなくなります。
ただ、こうして今川軍の足止めをしている間に、鳴海城、戸部城は救援が間に合わず陥落。
そうこうする内に残り時間もなくなりゲームは終了となります。お互いに勝利条件は満たせていませんが、ユニットの撃破はほぼ五分五分で、撃破による得点は織田軍の方が大きいため、そこに落城させた得点を加えると規定点を超え織田軍の勝利となりました。
○評価
カードドリブンシステムによる桶狭間の戦いですが、カードドリブンシステムの中でもアクションの分かりやすさやイベント効果のシンプルさ、3枚の手札の中からの選択と、かなり手軽な部類に入るゲームとなっています。雑誌のコンセプト的に「ウォーゲーム日本史」の付録全般にいえそうで、以前プレイした「討入忠臣蔵(「自宅ゲーム会178 中盤」を参照。)」もそうでしたが、ウォーゲームではあるもののルールはそれほど複雑ではなくプレイ時間もそれほど長時間にならないためプレイアビリティはかなり高くなっています。
また、桶狭間の戦いといえば日本史にほとんど興味がない人でも織田信長が奇襲で勝ったくらいのことは知っていると思われるほど有名なもので、このあたりの要素をアントライドユニットとカードによる機動性の差で表現しているのが面白いところです。織田軍はユニットの数こそ少ないもののユニットの能力を見てから編成を行えるため、主力や陽動のための分担が可能ですし、複数のグループを同時に移動させたり敵ユニットを無視して移動できるカードが多く含まれているため、今川軍に対して先手を撃ち戦力を集中しすることも可能となっています。反対に、今川軍は数と質において基本的には織田軍を上回り大軍を編成するカードも持っていますが、登場するユニットはランダムなので強力なユニットが上手く出陣するかは運で、今川義元の護衛として一緒に出陣させたのにへっぽこばかりということもありえます。落城を防止するためにも素早く軍を前線に押し上げたいところですが、複数のスタックが移動できるカードが少ないためどうしても展開は鈍くなり堅実に少しずつすすめるか、少数のスタックを突出させるかは考えどころです。
難しいのは落城のタイミングがいつになるかゲーム開始時はお互いにわからないというところで、いつまで包囲を維持しなければならないか、包囲を崩すためにどれだけ急がなければならないかの判断は悩ましいところです。
一方で、上記のとおりアントライドユニットの仕組みは面白いと思うのですが、その中でなぜか信長と義元の位置だけだ分かってしまうのは気になりましたね。義元は今川軍の仕組み的にやや仕方ないとはいっても、信長はエラッタを適用すると強力な支援能力を持っており、上手く使うことでまさに奇襲という展開を再現できそうなので、せめて信長は他のユニットと同じで非公開でも良かったんじゃないかなと。
とはいえ、その点以外は1ラウンド1アクション、僅か12ラウンドという規模で桶狭間の戦いをそれっぽく、両軍にとってきちんと駆け引きがあるようにまとめてあり、プレイしやすく面白いゲームになっていると思います。
中盤に続きます。