ボドゲ紹介1 ユリウスカエサル | とりあえず日々ボードゲーム

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日本の片隅、島根県の浜田市で日々ボードゲームにはまっている管理人が、とりあえずボードゲームについて色々と書いていく(予定)のブログです。

 紹介というテーマで初紹介するタイトルは「ユリウスカエサル」です。ボードゲームの中でも、どちらかというと重いゲーム代表の様なウォーゲームに属する(と思われる)タイトルですが、「ユニットタイルが1,000近くあって、マップも普通の机では広げられないほど、初期配置だけで1時間は平気でかかる」という管理人の勝手なウォーゲームのイメージからすると遥かに軽く、普通にちょっと重ためくらいのゲームです。いきなりウォーゲームの紹介もどうかと思ったのですが、個人的に好きなのとどこかで再プレイしたいなあという思いからです。


☆ユリウスカエサル

○概要

作者:JustinThompson&GrantDalgliesh

対象年齢:12歳以上

対象人数:2人

標準時間:1~3時間程度

管理人プレイ済


 ローマ時代の軍人であり政治家でもあるユリウスカエサル(ジュリアスシーザー)の人生におけるローマ内戦がテーマです。当時執政官であったカエサルはガリア遠征で多大な成果と名声を得ることになりますが、それに反発する元老院はカエサルと同じ執政官のポンペイウスと協力し、カエサルの追い落としを画策します。管理人の適当な認識ですが、執政官は大臣、元老院は国会と思っていただき、一人の大臣に名声が集まりすぎたので、国会が別の大臣と協力して、その大臣を蹴落とそうとしたという感じです。

 このことに流石に怒ったカエサルは、ついに元老院とポンペイウスとの対決を決意し、軍を率いてローマに進軍します。このときに発せられたが「賽は投げられた」という言葉で、歴史に詳しくない人でも一度は聞いたことのある言葉じゃないかと思います。

 この舞台設定に基づき作られたゲームになりますので、各プレイヤーはそれぞれカエサルとポンペイウスとなってゲームを進めていきます。


①初期配置に基づき、ユニットを配置します。当然1時間かかるようなこともなく、10分もあれば終わります。


カエサル1

初期配置が終わった状態で、カエサル側から見た光景です。ローマからスペインにかけての地中海沿いに舞台を展開しています。一方で、ポンペイウスはローマを挟んで反対のイタリア半島南部から地中海沿岸に広く展開している状況です。


②カードをそれぞれのプレイヤーに6枚づつ配ります。

カエサル5
カードにはコマンドカード(左)とイベントカード(右)があります。コマンドカードは、旗の数字分の行動とその下にある○の数だけ兵の補充が行えます。写真のカードの場合3回分の行動と2戦力分の補充が行えます。イベントカードはそのイベントに書かれた行動が行え、比較的強力なものが多いです。写真のカードは奇襲を行うことが出来るカードで、相手に攻め込む際に先制攻撃が行えるとイベントカードの中でも屈指の強カードだと思います。


③毎ターン両プレイヤーが手札から1枚のカードを出し効果を適用します。適用の順番はまずイベントカード、次にコマンドカードの行動力が大きな方で、両方とも同じ行動力のコマンドカードを出した場合はカエサル側が優先権を持ちます。

④5ターンを終えたら残った1枚を破棄し、冬季処理を行ってから1年が終わります。先に10勝利点を獲得するか、5年を終えた時点でより勝利点が多いほうの勝利です。勝利点は、特定都市の占拠か敵将軍の撃破により得ることが出来ます。

 なお、勝利点は初期の時点で、ポンペイウス側7に対し、カエサル側1と大きく差が開いています。ポンペイウス側がこの勝利点を固持しようとすると、戦力の分散をせざるを得ず、またカエサル側はどこかで攻勢に出ないと逆転できないという状態で、お互いに違ったプレイ感を感じられると思います。


○紹介

・コンポーネント

マップボード、カード、ユニット(積木)、ダイスで構成されます。


カエサル2
メインのマップとユニットにあたる積木ですが、ユニットについては別途。先ほどとは反対にポンペイウス側から見た初期配置になります。マップの範囲は地中海全域になりますが、序盤はイタリア半島、イベリア半島が激戦地となり、そこから先は展開次第ということでしょうか。写真からは切れていますが、マップ左上には現在の年数を認識できる記載もあります。細かく見るとマップに小さく数字が貼ってあり、管理人の仕業ですが、理由はユニットのところで説明します。

カードは概要で説明しているので省略します。


カエサル3
ユニットにあたる四角い積木にユニットが書かれたシールを貼ったものです。写真はカエサル軍の主軸とも言えるユニットです。

 ユニットの表示についてですが、中央にそのユニットを現す絵があります。左上に数字があるものは軍団 の番号ですので、将軍や単一のユニット(写真右下のバリスタ等の1ユニットしかないもの)を除き記載がありますが、ユニットの識別以外に特に意味はありません。 右上のアルファベットと数字の組み合わせは戦闘力で、アルファベットがイニシアチブ(速さ)で数字が基礎攻撃力になります。イニシアチブはAほど早く、Dほど遅くなり、同じ値であれば防御側が先制となります。上下左右に書かれているローマ数字は戦力で、このユニットの体力を表すと共に攻撃力も現します。攻撃については戦力の数だけダイスを振り、基礎攻撃力以下の出目が出ればヒットとなり、ヒットしたダイスの数だけ敵ユニットにダメージを与えます。戦力の表示は現在の戦力を上にして積木を立てることで現します。ダメージを受け戦力が減ると、積木を回転させて現在の戦力値を表し、0になると壊滅(翌年から補充ポイントを使用して補充は出来ます)となります。

 最後に中央の絵の下にある文字ですが、鷲の絵(レギオン)と騎馬の絵(エクィテス)については都市名が書かれています。これは初期配置を除き、その都市でしか新規補充(盤外からの補充、盤面にでていればどこにいても戦力の回復は出来ます。)が出来ないことを表し、補充のためにはその都市を占領している必要があります。この点が、マップとユニットを見比べる必要があり探すのに時間がかかるため管理人がマップに番号(軍団番号です)を貼っている理由で、こうするとどこの都市でどの軍団が補充できるかが分かるため、補充作業がスムーズになりますし、希望の戦力を新規補充するためにどこの都市を目指したらよいかが一目で分かります。この2種類のユニット以外の文字は名前です。

 写真左上がカエサルとなり、戦闘力A3と非常に優秀です。戦力(いわゆる体力)が攻撃力となるこのゲームにおいては、先制で相手の戦力を減らせると非常に優位に立てます。カエサル以外にも優秀なユニットが多く、写真のレギオン2軍団はその中でも「戦力3のC4(ダイス3つで、出目が4以下)」と「戦力4のC3(ダイス4つで、出目が3以下)」と非常に優秀な軍です。

 写真右側の二つは海軍とバリスタで、カエサル、ポンペイウス両軍に含まれています。海軍は全てイニシアチブDと陸上戦力と沿岸都市で戦闘する場合は非常に不利ですが、唯一海域(地中海は海域ごとに分割されている)を占領でき、占領しているとその海域を挟んで海上輸送が出来ます。また、海軍同士が戦う場合、お互いDなので特に問題になりません。もう一つのバリスタは、表示上戦闘力B4と優秀ですが、これは防御側になった場合だけで、攻撃側では戦闘力D4として扱われます。



カエサル4

写真はポンペイウス軍のユニットの一部です。カエサル軍に比べ、レギオンやエクィテスについて見るべきものはそれほどありません。左上のポンペイウス自身も戦闘力B3と本来優秀ではあるものの、やはりカエサルには見劣りします。唯一、左下の像兵がポンペイウス軍にのみ存在し戦力4の戦闘力B3と非常に有力な戦力です(1ヒットで戦力が2減るという欠点もあります)。ただし、ポンペイウス軍は初期に展開しているユニットがカエサル軍より若干多いという優位点もあります。


ダイスは6面ダイスが4個あります。特別なサイコロではないので省略します。



・面白いところ

 ウォーゲームの多くはユニットの表示にくタイルを使用していますが、本作においては積木が使用されています。積木を使うことで、自分には見えても相手にはどんなユニットが目の前にいるのかが見えないという戦場の霧が表現されており、うまく利用して相手をだましたりも出来ます。また、戦力の表現にも回転させるだけで表示でき見やすいと思います。

 攻撃力については、基礎攻撃力と戦力から成り立っており、戦力が減ると自然と攻撃力も減っていくというのがいいと思います。特に史実を元にしたゲームのため、戦力は壊滅寸前だが攻撃力は全快の時と同じというのでは不自然だと思います。まあ、その辺はバランスの問題なので、必ずしもどっちじゃないといけないというわけではないですが。


・気になるところ

 毎年の行動においては、どんなイベントカードがくるか、コマンドカードの内容などカード運があるということ。また、戦闘においてはダイス運もあるということで、運という要素があります。戦力的に勝る戦いで、ダイス運に見放され敗れるという状況を、戦場においては運も重要だな、と納得できるかどうかで評価が変わると思います。管理人の感覚では、カード運は5年という中なのでそれほど差は出ないしでても運用である程度まではカバーできるのではと思っています。イベントカードも効果的に使用するタイミングがそれぞれありそこも運用次第かなと。また、ダイス運についても戦場においては運も重要だなと許容でき、それ以上に戦略的に優位な状況を作るほうが大切だと思うので、重要なのはそもそもの運用かなと思っています。とはいえ、一緒にプレイした相手は、管理人のダイスの出目で大敗を受けた戦場があったこともあり、このダイスによる戦闘がイマイチだったようなので、この辺は好みだと思います。

 コンポーネントについて、特にマップの仕様が気になります。机においても折れ目等が浮く薄さなので、ユニットが置きずらく、そのうち厚紙に貼ろうかなと思うほどです。また、マップの都市の表示サイズがあまり大きくなく、数ユニットを置くとはみだし、置き方によっては隣の都市までかかるので、ゲームを進める上でどこの都市にいるのかとか、視認性の面で気になります。また、管理人は番号を貼って対応しましたが、レギオン等補充都市が限定されるユニットについてはマップとユニットを何度も見比べる必要があり、この辺はそもそも何らかの対応があっても良かったのかなと。象や艦船等はアイコンで補充できる都市が表示されているので、同様にアイコンと番号で表示してあればだいぶ違ったと思います。


○全体

 このゲームを行うにあたっては、時代背景や人物等の歴史をサラッとでも知っておくと、カエサルで史実通り勝利を再現するのか、本来は敗れるはずのポンペイウスで逆転を演出するのかと、ゲームへの入り込み具合が違うと思います。また、初期配置から通常はイタリア半島とイベリア半島が序盤の戦場となりますが、プレイする人の作戦によっては序盤の主戦場をアフリカやギリシャ半島とすることも不可能ではなく、自由度の高さも感じられます。

 このゲームにおいて管理人が特に好きなのは積木ユニットの使用というところで、これを使用したことによる戦場の霧と戦力の段階的表現というのは非常に画期的なのではと思っています(このゲーム自体数年前のゲームなのですが)。

 マップの視認性という気になる点はありますが、ウォーゲームという偏見にかかわらずテーマに興味があれば、ルールも複雑すぎず、ゲームにかかる時間もそれほど長くないことから一度プレイしてみてもらいたいなと思うタイトルです。まあ、このテーマに興味を持ってくれる人が周りにいるかというのが大切で、管理人も再度プレイしたいもののなかなかプレイできないのが現状です。


 ちなみに、このゲームの制作会社であるコロンビアゲームズさんでは、同様の積木ユニットを使ったゲームを多数作成されています。管理人が所有しているのはこの他、十字軍をテーマにした「クルセイダーレックス」、スコットランド独立戦争をテーマにした「ハンマーオブザスコッツ」、ナポレオンのワーテルローの戦いをテーマにした「ナポレオン」があります。ユリウスカエサル以外はまだプレイできていませんが、ルールを斜め読みした範囲では、ユリウスカエサルが使用する軍に関わらず同じルールで、ルールも比較的シンプルにまとまっており(改めて書きますがそれでもちょっと重めくらいのルール量はあります。)プレイしやすそうな感じでした。

 


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